「『月に400時間ぐらい働いている』と友達に言ったら引かれた」
「これだけ働いてるのって異常なのかな?」
「そういや最近、友達どころか家族とも話していない…」
飲食で働いていると、こういう経験は日常茶飯事です。
私も飲食業界で働いていましたが、当時は月400時間を超える労働で疲弊していました。
ついにはメンタルを病み飲食業を辞め、転職しました。
しかし、今では早めに飲食業界を抜け出せてよかったと思っています。
この記事を読んでいるあなたは、長時間労働に疑問を持ちつつも、なかなか抜け出す決心がつかないのかもしれません。
経験者の私からすれば、一刻も早く転職したほうが良いと断言できますが、この記事ではその理由や抜け出し方について紹介していきます。
長時間労働すべきでない理由
「長時間働いているけど楽しい!」というのなら止めはしません。しかし、長時間労働を続けていると様々な弊害がありますし、いつまでも続けられるものでもありません。
また、失いたくないものまでなくしてしまうこともあります。
そうなっては後の祭りです。
ここでは長時間労働をやるべきではない理由を3つ紹介します。
家族との時間がなくなる
長時間労働をしていると、家族との時間がなくなります。
24時間を労働時間から引くと、睡眠時間しか残らないからです。
例えば16時間勤務をしたとします。
残りは8時間で、さらに食事の時間や通勤時間を引いたら寝る時間も少ない状況。
当然、家族と過ごす時間が少なくなり、疎遠になっていきます。
こんな状況なので、私の同僚も離婚をする人は珍しくありませんでした。
そもそも家族を守りたいから仕事を頑張るもの。その家族を失ってしまっては元も子もない。
判断力や思考力が低下し、命の危険がある
長時間労働が続くと考える余力もなくなるので、判断力や思考力が下がります。
仕事中にミスをするのはもちろん、通勤で車の運転をするときには事故を起こす危険性もあります。実際、前の会社では事故を起こしてしまった人もいます。
当時は立ったまま寝れると思うこともあるぐらい、常に眠気との勝負でした。
健康でいられなくなる
長時間労働を継続していると、体に大きな負担が掛かり健康ではなくなります。
とにかく時間がないので、健康を気にしている時間もないからです。
私の同僚で、健康診断に行って血圧の高さを競っている人がいました。
今は健康だから無理ができているのに、健康ではなくなったら笑っていられませんよね。
このように長時間労働が続くと健康も害してしまう可能性が高くなります。
» 1日16時間労働で起きる体の異常。そんな会社もう逃げて!
また、体だけではなく精神的に病んでしまう人も多くいます。私と同じように。
抜け出せないトンネルのような感じで、ずっと長時間労働が続くと精神的な負担がずっと掛かっている状態だからです。
顔を見ないと思っていたら、うつ病で休職しているということもよくあります。
人によっては、なんで体や精神を病んでまで仕事を続けているのか疑問に思うかもしれません。
次からは長時間労働を抜け出せない理由を解説していきます。
長時間労働を抜け出せない理由
もしかしたら、あなたも今の環境から抜け出したいと思いつつ、抜け出せない状況かもしれません。
理由は様々ありますが、ここでは以下の4つを紹介します。
長時間労働が当たり前になっている
外から見たら長時間労働で大変そうに感じますが、当の本人は当たり前だと思っています。
大変なのが日常化し、もはやしょうがないと思っているので、抜け出そうという考えが出てきません。
サービス業をやっている人は分かると思いますが、長時間働いたことを伝えて、大変だねって同情してもらいたい人が多いんです。
当たり前になっているからこそ、退職しようという考えが浮かばず、体や精神を壊してから休職になる人が多くいます。
長時間働く事が「かっこいい」と勘違いしている
今から振り返ってみると考えられない事ですが、当時のワタシは長時間労働することが自分の中で「かっこいい」とも考えていました。
- 理由は分からないが、何か頑張っている感がハンパない
- 俺はやっているという謎の達成感
- 長時間労働=忙しく充実している人という優越感
恥ずかしいかな、当時の自分は本当にこんな感覚に陥っており、欠勤者が出た時や多忙な12月などには更に率先してお店に入るといった事を繰り返していました。
人出不足の中、積極的にお店にシフトインする俺。
かっこいい!ヒャッハー!!(狂気)
こんな形で、歪んだ陶酔感にひたっていたのです。
長く働けば評価されると思っている
またそんな自分を後押しするかのように、会社側からも長時間働く姿勢で仕事に望むことが賞賛されましたし、周りの社員達も似たような空気を持っている人がほとんどでした。
上司も同じように長時間労働をしてきているので、「長く働く=頑張っている」と考えるからです。
上司に「ちょっとは休めよ」と言われるようにならないと、出世できないと考えている同僚もいました。
私もその考えがあり、上司にいつもいると思われるように休日でも出勤していた時もあります。
長時間働かなければ出世できないと思っているので、無理にでも出勤しました。
そもそも、会社という狭い世界の中で自分のやっている事が評価されると、価値観が固定されてしまい、ますます他の事に目が行かなくなってしまうんですね。
そうなると当時は見識が少なかった事もあり、とにかく長く働くのがいいと信じて疑いもしなかったのです。
自分だけ抜け出すのを悪いと思ってしまう
また、自分が抜け出したら同僚にそのしわ寄せが行くと考えていました。
求人をしても人が来ないので、自分が働いていた分は、一緒に働いていた同僚が被ることになります。
私が働いていた時も、社員3人だったのが、2人になった時も補充なしでやりました。
他店舗も余裕がないので、自分達で頑張らなくてはならないと諦めています。
このように、自分が辞めた後の大変さを知っているので、簡単に辞めると言えない環境ができ上がってしまっているのです。
大量の退職者を目の当たりにして異常に気づいた
当たり前の話ですが、ほとんどの人にとって長時間労働はいいものではありません。
歪んだ価値観と評価の中で生きていた自分からは想像もつきにくかった事ですが、自分が上に立ってみて大量の退職者を目の当たりにして気付かされましたね。
部下が全く育たないのですね。
大学の新卒はおろか、他業種から転職してきた人なんかは一瞬で辞めていきます。
残っているのは別の飲食店経験者とか、性格に難があるような人ばかり。
入っては辞め入っては辞めを繰り返す事になり、有能な人材が全く台頭してこないのです。
そうなると面白い事に、今まで長時間労働を推奨していた会社が手をひるがえすように、
お前の教育のやり方が間違っているのではないか?
もっと部下を大切に育てろ!
こんな事を言い出す始末に。
今まで時間を切り売りしてきた人間が、会社から咎められて急に何か斬新なアイデアを提案するなんて到底ムリな話。
私自身、大量の退職者を目の当たりにして、飲食業でやっていく事を真剣に考え始めた瞬間でもありましたね。
月400時間労働は当然違法
うすうす感づいていると思いますが、そもそも月に400時間も労働するのは違法です。
その詳細を紹介します。
労働基準法的には完全アウト
労働者の権利は、労働基準法で守られています。
労働基準法で会社側が労働者について働かせられる時間は、1日8時間・1週間で40時間です。
(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
引用元:労働基準法 | e-Gov法令検索
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
しかし、36協定を結んでいる場合には、「1日8時間・1週間で40時間」という制限を超えて労働させることが可能です。
36協定を結んでいてもNG
36協定とは、会社側が社員を労働基準法で定められた時間を超えて働かせられるように締結するものです。
36協定を結ぶと、月45時間・年360時間の時間外労働が認められます。
特にサービス業は、人手不足なので8時間を超えてしまうことが多々あります。この時に36協定を結んでいないと、会社側が法律違反になってしまうのです。
でも、月400時間勤務ということは、通常勤務を差し引いた240時間が月の残業となります。
年間でも360時間の残業しか認められていないのに、1ヶ月で240時間の残業です。
36協定を結んでいたとしても、法律違反しているのがよく分かります。
36協定について詳しくは、12時間労働は法律的に大丈夫?違反しているケースと対応策を紹介します。に書いているので、興味があれば読んでみてください。
長時間労働から抜け出す方法
まとめると、以下の3ステップで400時間労働から抜け出しました。
1つずつ解説します。
今の環境をおかしいと認識する
まずは、今置かれている環境を普通じゃないと認識することが必要です。
そもそも、長時間労働から抜け出せない理由は、それが当たり前になっているからです。
月400時間労働というのは普通では考えられませんが、当時の私は疑問を持ちませんでした。
あなたも同様に、現状の異常さを認識していない可能性があります。
分かっているつもりでも、本当の意味でどれほど異常なのかを理解していないことがよくあるのです。
家族や友人と話す
次に、家族や友人にあなたの現状を話してみましょう。すると、よりはっきりと労働時間の異常性に気づくことができます。
そして家族や友人に打ち明けることで、今の環境から抜け出すための協力をしてくれることもあります。
注意しなければいけないのは、同情してもらうことが目的になってはいけません。
同情され悲劇のヒロインになってしまうと、「自分頑張っていてすごい」と勘違いし、行動を起こせなくなります。
家族や友人に話して普通ではないことを確信すると同時に、今の環境から抜け出す準備を始めましょう。
計画的に転職する
長時間労働から抜け出す心の準備ができたら、本格的に転職活動を行います。
漠然と転職しようとすると、なかなか転職活動の時間がとれずに途中で辞めてしまうので、計画を立てて着実に進めていくのがポイントです。
そこでおすすめなのが転職エージェントを利用する方法です。
転職エージェントによっては数万~数十万もの数の求人から、あなたの条件にあった転職先をリストアップしてくれます。
また、書類の添削や面接のアドバイスもしてくれ、合格する確率を上げてくれます。
面接は受けるのに相当な労力が掛かるので、落ちることが続くと転職活動を諦めてしまうこともあります。
なので、途中で折れることなく転職活動を続けるためにも、面接で落ちる可能性を下げるのは非常に重要なのです。
このような理由から、長時間労働から抜け出すためには転職エージェントの利用は必須と言えます。
利用は無料ですし、転職しなかったとしてもペナルティもないので、まずは気軽に相談してみるといいでしょう。
おすすめの転職エージェントも選んでおいたので、紹介します。
おすすめの転職エージェント
リクルートエージェント
リクルートエージェントの特徴は、なんと言っても求人数の多さ。日本一の求人数を誇ります。一般の求人サイトには掲載していない非公開求人も10万件以上あり。
様々な職種、年齢、勤務地に対応しており、転職した者の2/3は一度は登録しています。
豊富な転職支援実績データに基づく選考サポートが手厚く、履歴書作成から面接準備まで転職のプロがサポートしてくれるので、登録しておいて損はありません。
カウンセラーの対応も迅速なので、働きながら転職活動をするのにうってつけのエージェントです。
LHH転職エージェント
LHH転職エージェントで年収アップしている人多数!キャリアアップを目指す人向けの転職エージェントで、外資系、法務・経理などの管理部門、第二新卒などの転職に特に強いのが特徴です。
世界でもTOP3位に入る人材会社のアデコグループが運営しており、細かなカウンセリングによる高いマッチング精度が売り。
普通のエージェントは転職者と企業側の担当が分かれているところ、LHH転職エージェントは1人で転職者と企業側を担当しています。そのため、企業カルチャーとの相性まで見極めることが可能です。
エージェントは各専門職種に精通しているため、他のエージェントにはできなかった専門的なことまで相談できます。
doda
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転職活動に失敗したくない人や、次こそは長く働ける職場を探したいと考えている人などにおすすめです。
アデコ転職エージェント
アデコ転職エージェントは、日本で37年以上の人材事業を運営している実績があります。
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他の大手の転職エージェントと比較すると求人数は少なめですが、やはり求人数が少ない事務職に強いのが魅力的です。事務未経験でもOKな求人もあります。
ただし、特に事務職は人気なので、20代~30代前半ぐらいまででないと求人が見つからない可能性もあります。
何はともあれ面談してみないと分からないので、まずは相談してみましょう。平日の遅めの時間帯も面談可能です。
マイナビAGENT
マイナビAGENTは、20代からの信頼がNo.1の転職エージェントです。
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最後に|月400時間は後悔でしかなかった
当初はかっこいいと思ってやっていた長時間労働。
結局のところ、長く働く事は大量の退職者を生む結果を招き、最終的に会社からは無能扱いを受けるので、いいところは何もありません。
長時間労働は美徳といった考えは歪んだ価値観でしかないのです。
» 長時間労働=美徳はおかしい!日本人が労働を美化する理由。
また、普通なら簡単に思いつくはずの転職という考えが、長時間労働で思考力が低下しているので出てきません。
人間は思考停止して今まで通りの方が楽なので、現状を変える転職は考えないようにしています。
今のまま長時間労働を続ける選択をして、体や精神を壊してしまってからでは取り返しがつきませんよね。
転職活動をするのは怖いかもしれませんが、自分や家族のことを考えるのなら1歩踏み出す勇気が必要です。
抜け出してから見えてくる世界もありますよ。
一歩踏み出す勇気を持った人だけが人生を切り開いて行けるのです。