ITエンジニアは将来性が高い職業といわれます。そのため、未経験からエンジニアを目指す方も少なくありません。
しかし、その一方でエンジニアは業務としてきついといわれることも少なくありません。
- エンジニアって残業が多いって聞くけど本当?
- エンジニアは休日もずっと勉強しているの?
- 未経験からエンジニアになるのにどれくらいハードルがあるの?
など、様々な疑問がありますよね。
結論を言うと、人によって程度の差はありますが未経験からエンジニアになるのはきついです。
そこで今回は、現役エンジニアであり年間で10人もの新人教育をした僕が
- 未経験でエンジニアがきつい理由
- 少しでも「きつい」を緩和するための対策
についてお話していきます。
未経験でエンジニアがきついと言われる8つの理由
未経験エンジニアがきつい理由は様々ですが、以下の理由があります。
- 理由1:採用までのハードルが高い
- 理由2:転職後も求められる学習量が多い
- 理由3:給料が安い
- 理由4:周りに優秀な人が多い
- 理由5:プログラミング以外にもやることが多い
- 理由6:技術力がない
- 理由7:プロジェクトの納期が厳しい
- 理由8:先輩が忙しそうで聞きづらい
理由1:採用までのハードルが高い
まず、未経験エンジニアの採用ハードルはどんどん高くなっています。
採用ハードルが上がっている理由は様々ですが、いくつか理由を挙げると以下の通りです。
- 未経験から1年で辞める人の増加(教育コストだけかかる)
- 未経験からのエンジニア志望者の増加
- スクール卒業生の質が劣化
- 未経験エンジニアの教育コスト可視化
これらによって、企業はこれまで以上により慎重に優秀な人を見極めて採用する傾向が強まっています。
以前までは、「優秀であれば採用!」と考えていた企業も、今では「長く続きそうか」「成長速度が速そうか」「きちんと学習してきたか」など、より多角的に応募者を見ています。
それに相反して応募者数は増加傾向にある(=競争相手は多い)ため、必然的に採用ハードルは上がりやすくなったといえるのです。
理由2:転職後も求められる学習量が多い
また、無事に未経験からエンジニア転職に成功したとしても学習は続くことになります。
エンジニアは日々新しい技術や概念が出てくるため、学習に終わりがあるものではありません。
例えば、フロントエンドの技術は非常に変化が激しく、今や当たり前のように使われている技術はここ5~10年で生まれた技術です。
- React:2011年
- Vue:2014年
5~10年と聞くと長く感じるかもしれませんが、社会人経験が40年以上続くことを考えると、常に勉強しなければならないことがわかります。
Webで一般的に使われている技術(CookieやSession)の理解に加えて、新しい技術(ReactやVue)などの学習もする必要のある未経験エンジニアの学習量は決して少なくないのです。
理由3:給料が安い
エンジニアは一般的に高級取りに分類されますが、未経験エンジニアの年収は非常に低いです。
多く出してくれる企業であっても400万円、一般的な企業であれば300~350万円程度です。
30歳近い年齢で手取りが20万円となると、「なんでエンジニアになったんだっけ?」と悩んでしまう人も少なくないでしょう。
最初の2年くらいは、大変なのに給料が安い…と悩む人は決して少なくないかと思います。
理由4:周りに優秀な人が多い
エンジニアは他業種と比較すると論理的にものごとを考える人が多いです。
そのため、たとえ「エラーが解決できない」という出来事に対して
- 何のエラーが出ているのか
- なぜエラーが解決できないのか
- 実際にエラーに対してどんなアプローチをしたか
- どうすればエラーを解決できると考えているか
など、かなり細かく突っ込まれます。
慣れないうちは、このような突っ込みに対して精神的にきついと感じる瞬間はあるでしょう。
理由5:プログラミング以外にもやることが多い
エンジニアと聞くとコードを書くイメージが強いですが、実際の仕事は多岐にわたります。
なぜなら、企画担当者はプログラミングのプロではないため、要望をプログラムまで落とし込む作業が発生するためです。
- 納期のすり合わせ
- 機能の細かい条件のすり合わせ
- 機能をコードに落とし込む設計作業
など、業務の半分以上の時間はこれらの時間に使います。
すり合わせ業務に関しては、コミュニケーションが苦手でエンジニアになったという人には辛い業務になるでしょう。
理由6:技術力がない
当然ですが、いくら転職前に学習をしても実務未経験だと技術力のなさを痛感します。
- ITのカタカナ用語がわからない
- そもそも先輩が何を話しているのかわからない
最初の3ヶ月くらいは、毎日のように知らなかった単語が出てくることになるでしょう。
一生懸命勉強しているつもりでも、わからないことばかりなので「自分はエンジニアに向いていないのでは…」と悩むことになるのです。
理由7:プロジェクトの納期が厳しい
転職した企業の方針などにもよりますが、納期が厳しいプロジェクトに当たる可能性も否定できません。
納期が厳しいプロジェクトはデスマーチとも言われる、残業当たり前・いつ終わるかゴールも見えない環境になることもあります。
突然休日出勤を命じられたり終電まで働いたり…
↓ホワイト企業の見極め方については以下の記事でも解説しています。
» 「未経験で中小ITはやめとけ」は正しい?ホワイト企業の見極め方を解説
最近は働き方改革の影響もあり、IT業界全体がホワイトになっています。
ただし、納期直前などは労働時間が伸びることは業界としてはあるあるなので、頭の片隅には入れておきたいところです。
理由8:先輩が忙しそうで聞きづらい
おそらくIT企業に転職し、プロジェクトに入ることになったときに
- 「わからないことがあったら聞いてね」
- 「相談は早めにしてね」
といったことを先輩社員に言われるので、最初は「心強いしたくさん相談しよう!」と思います。
しかし、いざプロジェクトに入ると先輩社員はいろんなところに引っ張りだこで、聞くタイミングを逃してしまうことも少なくありません。
IT業界は特に優秀な人に仕事が集まるからね…
そうなると仕事中に何もできない時間帯が増え、自分は大丈夫だろうか…と悩むことになるのです。
未経験エンジニアでも「きつい」を緩和するための対策
ここまで、未経験エンジニアがきつい理由について解説してきました。
正直、頭ではわかっていても実際に仕事を始めると「やっぱりきついなあ」と感じる瞬間は多いです。
その中でも、「きつい」という思いを緩和するための対策を3つ紹介します。
- 対策1:勉強を欠かさない
- 対策2:意欲だけはしっかり見せる
- 対策3:自分を客観的に見る
対策1:勉強を欠かさない
エンジニアは専門職であるため、何を差し置いても技術力がものを言う部分があります。
極端に言えば技術力さえあれば
- 多少コミュニケーション能力が低くても
- 他の業務に問題があっても
エンジニアとして食べるのに困らないレベルにはなれます。
以下の記事を読んでいただくとわかりますが、休日に勉強をする人は多くありません。
» エンジニアは休日やプライベートでも勉強しないとダメ?⇒そんなことはありません。
最初の1年くらい死にものぐるいで学習すると2年目以降は劇的に仕事が楽に感じるでしょう。
対策2:意欲だけはしっかり見せる
未経験からエンジニアになる人が技術力が足りないことは企業としてもよくわかっています。
技術力で貢献することが難しいうちは、意欲以外で企業側も評価することが難しいです。
少し上手くいかなくても「あいつは頑張っているしなあ」と思われるかどうかが大事!
当たり前のように思われるかもしれませんが、エンジニアとして転職するのはゴールではなくスタートと考えましょう。
対策3:自分を客観的に見る
エンジニアの仕事はコードを書くことが多く、自分の世界に入りやすい職業でもあります。
だからこそエラーで詰まって時間を過ごしてしまうと
やばい今日終わらせないといけないのに絶対終わらない!
エンジニアに向いてないのかも…
など、様々な不安がおそってきます。
そうしたときに、一歩引いて自分のことを見れるかどうかは重要です。
冷静になれないと焦ってさらに数時間を無駄に…なんてこともあるよ!
エラーに詰まったときは、頭を抱えてもう無理だと思いがちですが、一度席を立ってリセットする習慣を今から身につけておきましょう。
まとめ|未経験エンジニアは正直きつい!けど一歩一歩成長しよう!
ここまでのポイントをまとめます。
- エンジニアは採用前も採用後も正直きつい
- 常に冷静になれるよう定期的にリセットする習慣をつける
- 未経験だからこそ意欲的に学習しよう
今回は未経験エンジニアがきついといわれる理由とその対処法について解説してきました。
エンジニアはメンタルヘルスに問題を抱える人も少なくなく、特に入りたてのころはできない自分に直面することが多くなります。
完璧に事前準備をすることはできませんが、それでも正しく転職に向けた準備をすることが大切です。
具体的な学習方法やロードマップについては以下の記事でも解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。