定時になるとみんな黙々とタイムカードを押す。
帰るのかと思いきや、再度デスクに戻り、再び業務に励みだす。
みんながそうしているので自分も渋々同調するが、何か合点がいかない。
いわゆる「タイムカードを押してからサービス残業をする」問題。
これ平然とやっているかもしれませんが、基本的に違法です。さらにはあなたにリスクも伴います。
そしてそんな会社には将来性がありません。
この記事では、その詳細を解説します。
サービス残業の強要は違法!
タイムカードを強制的に押させてサービス残業を強要するのは、労基法32条と37条に反しています。
従業員に残業をさせておきながら、残業代を支給しない「サービス残業」は違法です。
労働基準法第32条において、労働時間は「1日に8時間・1週間に40時間」と定められており、この時間を法定労働時間と言います。
引用元:毎日サービス残業…違法で会社を訴えたい!必要な証拠や訴えるまでの流れ|ベリーベスト法律事務所
また、労働基準法第37条においては、法定労働時間を超えて従業員を働かせる場合には、残業代を支払わなければならないと定められています。
他にも、以下のような場合はサービス残業に該当し、違法となります。
- 実際よりも少ない勤務時間で報告させる
- 残業時間の端数を切り捨てる
- 早出や仕事の持ち帰り
- 一定以上の残業代をカットする
- 業務時間外のサービス残業
- 名ばかり管理職が時間外労働をする
- 超過時間をみなし残業として扱う
自主的なサービス残業もNG
では強要ではなく自主的な場合はどうなのか?いわば社員が否応なしにやっている状態のことです。これも違法です。
あからさまにタイムカードを早めに切らせると露骨な違法行為と受け取られ兼ねない。
そのため悪質な会社ほど社員側に勝手にタイムカードを押させて、あたかも自主的に会社に残っているかのように装う。
「みんながやるからやる」とか「上司の評価が気になる」という集団心理、行動感染につけこんだ手口です。
全員が当たり前のようにやっているので違和感がなく、問題にも挙げにくい。厄介です。
この場合、会社側は残業代を払いたくないが、「残業をしないと業務が終わらない」「仕事量が多い」「就業時間外に取引先との会議を入れられた」などの、れっきとした背景があります。
このような理由があったとしても、自分一人だけではなく周り全員がそうしているということは、会社側としても「残業が必要な状況」という事実を十分認識していると考えられます。
つまり暗黙の残業指示命令と解釈できるので、残業した分の残業代を支払わない場合は違法となります。
タイムカードを押してからの残業は予期せぬリスクも伴う
タイムカードを切った後のサービス残業。実はこれ自分でも予期せぬリスクを背負う可能性があります。
後々になってそんなはずじゃなかったと嘆いても、後の祭りです。
万が一労災が起きた時に実費になる可能性がある
タイムカードを押した後のサービス残業時は、法律上は業務外の時間です。仕事を終えていることになっています。
なので、もしこのタイミングで何か事故を起こしたり怪我をした場合、最悪、労災認定されない可能性があります。
といのも労災が起こった場合、労災保険を請求するための請求書を所轄の労基署に提出しなければなりません。
労災には療養給付や休業給付など色々ありますが、どの請求書類にも、
- 負傷又は発病の時刻
- 災害の原因及び発生状況
を記入する欄があります。
さらに、初回の申請の際には、
- 賃金台帳
- 出勤簿またはタイムカードのコピー
も合わせて提出する必要があるのです。
休業補償などは労基署が書類から平均賃金を加味して決定するのですが、ここで嘘の記述や不備があると企業の内部調査を行う場合があります。
この時、
- タイムカードは定時で切られているのに、業務外で事故を起こしている
- タイムカードは定時で切られているのに、賃金台帳に不備がある(残業代が支給されていない)
こういった不備があると労基署は「サービス残業?」の可能性があるとみて調査を行おうとする。
会社側としては労基署の指摘を受けたくないから、極端な話、
いえ、あいつは時間外の作業中に事故を起こしました。
勝手に作業し勝手に事故っただけです。
などと取り繕う。
こうなると、法律上も業務外扱いとなり、最悪労災が降りないという可能性があるのです。
あなたは仕方なしにやっていたサービス残業なのに、形式的にはあくまでも法律の範囲外(労災の外)でやっていた事実として扱われる。
善意が悪意として返される
こんな事にもなりかねない。
気づかぬうちに違法労働の片棒をかつぐ
百歩譲ってあなたがタイムカード押して残業する事を黙認して、そのまま今の仕事を継続していたとします。
ウチの会社はこういった暗黙のルールがある。
どうあがいても変わりそうにないから我慢してやろう。
こういった感じで、黙認しそのまま継続したとしましょう。
晴れて数年後、あなたの頑張り?が報われて管理職に抜擢されたとします。その後部下も数人でき、いっぱしの課長に出世。
そんな折、タイムカードを押してから残業するという風習は変わらず残っており、あるタイミングで気丈な部下から、
こんな仕組みはおかしい!訴えてやる!
といった事件が起きる。
あなたはそんな時、
いや、俺がお前の立場の時にも、似たような状況だった。
ここは黙ってこの仕組みを飲んでくれ!
こんな切り返しが通用すると思いますか?
いいえ、こんな事は一切通用しません。
なぜなら根本的にサービス残業の強要は違法だからです。違法を飲めという方が無理がある。
自分は会社のためにと良かれとやっていた事が、後々になって大事件になってしまう。気がつけばその中枢に自分がいる。
いわゆる犯罪幇助(はんざいほうじょ)というやつ。
こんなバカげた事態にもなりかねない。
タイムカードを改ざんする会社に将来性はあるのか?
タイムカードを押させて仕事をさせる。それに対して全体が暗黙の了解として黙認している。
これって言わば「会社の体質」です。問題を露見させず、水面下に押しやるという体質。
一事が万事なんていうコトワザがありますが、タイムカード一つ取ってもこういった隠蔽工作を行う会社は、他の部分でも隠蔽工作をやっている事が考えられます。
- 重要な事項を上層部だけが把握している
- 違法行為やそれに近いことを隠している
- 何か裏でヤバい人とつながっている
などなど。重要な事を周知させず、都合の悪いことは知らせない。こんな体質が見て取れます。
自社に都合の悪いことを隠蔽する体質ってブラック企業です。
こわいです。こわすぎます。
» 隠蔽体質な会社に勤めていると知らぬうちにリスクを伴う
会社に言っても無駄骨になるだけ
この記事を読んでいて不安になった。よし明日会社に出勤したら早速そのことを上司に言おう!
と考えて、
そうか!それは盲点だった。〇〇くんのお陰で気付いたよ。
早速、タイムカードを押してからの残業なんてシステムは取りやめよう!
こうなる会社はない。
なぜなら違法を承知でやっているから。サービス残業の押し付けなんて百も承知でやっている。
もしかすると、正規の残業代を支給したら会社が危うくなる。こんな経理状態だって考えられる。
ここで、
これは違法だ!
と息巻いて弁護士や労基署を駆使して訴える方法もあります。
タイムカード以外の証拠をガッチリ固めて法に訴えれば、あなたはきっと勝訴することでしょう。
それはそれで手法の一つですが、相当な時間がかかります。だいいちその間も同じ会社に在籍していなければならない。
恨みつらみでぶっちゃけたいのもやまやまかと思いますが、一層のことそんな会社とっとと辞めてしまったほうがいいでしょう。
法に訴えることにリソースを費やすのではなく、もうこういった会社で働かないようにするためにはどうしたらいいのか。こっちに労力を費やす方が賢明です。
長時間労働が問題視されている昨今なので、今の時代まっとうな会社はゴマンとありますよ。
退職するときの注意点
もし退職するなら、注意点が一点あります。
隠蔽体質なブラック企業の場合、変に事を荒らげると、次の転職先に災いが及ぶ可能性があります。
「タイムカード改ざん体質に不満があった!」
「嘘を黙認する社風が気に入らなかった!!」
などと内部告発をして辞めていくのは自重したほうがいいです。
事を荒げてやめた場合、次の転職先を調べられて、良からぬ噂を流される。こんな事にもなりかねません。
- 退職の際には、円満退職で静かに去る
- 次の転職先は誰にも(取り引き先などにも)絶対に言わない
こういった配慮が必要です。
むしろあなたが問題提起しなかった事で、違法残業を行っている会社はゆくゆく淘汰されます。
今の時代口コミサイトなどでブラック企業だという情報はすぐに出回ります。そうなると人が来なくなり、経営に息詰まることでしょう。
下手に問題提起し改善されないよう、おおらかな気持ちで静かに去っていくのがスマートな退職法でしょう。
最後に|転職のときはエージェントを頼ろう!
会社を辞めると決めたら、真っ先にやるべきは転職の準備です。
なぜなら、転職は実際にやろうとすると、転職すると決めてから他の会社に転職できるまで、だいたい半年程度かかるからです。
なので、いきなり今の会社を辞めるのではなく、まずは転職エージェントに相談し、転職前に他の企業の情報を得ておくと比較的スムーズに転職活動を進められます。
転職エージェントは企業探しの手伝いをしてくれるだけでなく、書類の添削や面接対策などもやってくれます。しかもすべて無料で。
ただし、注意しないといけないのが、転職エージェントの中にも、ブラック企業でもいいから、とにかく紹介数を伸ばして利益を伸ばそうとしている悪質なエージェント会社もあります。
それを避けるためにもおすすめの転職エージェントを選びましたので、紹介します。
おすすめの転職エージェント
リクルートエージェント
リクルートエージェントの特徴は、なんと言っても求人数の多さ。日本一の求人数を誇ります。一般の求人サイトには掲載していない非公開求人も10万件以上あり。
様々な職種、年齢、勤務地に対応しており、転職した者の2/3は一度は登録しています。
豊富な転職支援実績データに基づく選考サポートが手厚く、履歴書作成から面接準備まで転職のプロがサポートしてくれるので、登録しておいて損はありません。
カウンセラーの対応も迅速なので、働きながら転職活動をするのにうってつけのエージェントです。
LHH転職エージェント
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世界でもTOP3位に入る人材会社のアデコグループが運営しており、細かなカウンセリングによる高いマッチング精度が売り。
普通のエージェントは転職者と企業側の担当が分かれているところ、LHH転職エージェントは1人で転職者と企業側を担当しています。そのため、企業カルチャーとの相性まで見極めることが可能です。
エージェントは各専門職種に精通しているため、他のエージェントにはできなかった専門的なことまで相談できます。
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dodaは、転職者満足度No.1、人材紹介会社に関するポジティブな口コミ数でNo.1を獲得しており、職種ごとの多種多様な求人を保有しています。
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転職活動に失敗したくない人や、次こそは長く働ける職場を探したいと考えている人などにおすすめです。
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アデコ転職エージェントは、日本で37年以上の人材事業を運営している実績があります。
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他の大手の転職エージェントと比較すると求人数は少なめですが、やはり求人数が少ない事務職に強いのが魅力的です。事務未経験でもOKな求人もあります。
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