航空業界の外資系企業で働く元自衛官・公務員のわびです。詳しい自己紹介はこちら!
よく「幹部自衛官は激務」という話を聞きます。
これから幹部自衛官になる人や幹部自衛官になったばかりの人にとって、気になる話だと思います。
私は幹部自衛官として10年以上勤務し、その間に師団司令部や方面総監部などの勤務を経験しました。
月の残業が200時間を超える日々が1年以上続いたこともありましたが、ずっと激務というわけではありません。
この記事で紹介する『各級司令部で勤務した幹部自衛官が教える激務の真相と理由』を読むと、幹部自衛官の実情がわかるようになります。
幹部自衛官としての勤務歴
幹部自衛官の激務の真相と理由をお話する前に、私の幹部自衛官としての勤務歴を紹介します。
- 1年目陸上自衛隊幹部候補生学校
- 2~4年目小隊長と運用訓練幹部を兼務
- 5~7年目師団司令部で勤務
- 8~9年目方面総監部で勤務
- 10年目以降秘密
約10年の自衛隊勤務のうち、半分以上が師団司令部以上の勤務です。
おそらく幹部自衛官なら避けたい経歴だと思っています。
ちなみに私はBOCとAOC以外の教育入校はなく、全力で滅私奉公していました。
幹部自衛官の激務の真相
ここからは私が経験してきたそれぞれの部隊及び各級司令部での勤務の概要を紹介します。
それぞれの勤務における生活、残業時間及び土日の状況を見て、激務かどうかを判定していきます。
ただし、「秘密」のところは本当に何も言えないので割愛します。
幹部自衛官の激務の真相:幹部候補生学校
私の幹部自衛官生活は福岡県久留米市に所在する陸上自衛隊幹部候補生学校から始まりました。
幹部候補生学校はとっても厳しい学校と言われていますが、さほど厳しくありません。
幹部候補生学校の生活はこんな感じです。
このような日々を過ごすだけです。
平日は外出できませんが、土日祝は基本的に休みなので自由です。
所々で登山走、武装障害走、野営訓練、徒歩行進訓練などもありますが、日々の教育をこなしていたら楽勝です。
以上のことから、幹部候補生学校は全く激務ではありません。
幹部自衛官の激務の真相:小隊長兼運用訓練幹部
幹部候補生学校を卒業して、部隊に配属されると小隊長になりました。
小隊長になってすぐにBOCに入校し、毎日が夏休みのような生活でした。
BOC卒業後は小隊長兼運用訓練幹部として勤務しました。
小隊長兼運用訓練幹部の生活はこんな感じです。
残業は月50時間程度。
よく「運用訓練幹部は激務」とか言われますが、世の中のサラリーマンのほうが激務です。
たまに野営訓練等で土日がつぶれることはありますが、ちゃんと代休がつきますし、消化もできます。
以上のことから小隊長兼運用訓練幹部もそんなに激務ではありません。
幹部自衛官の激務の真相:師団司令部
私は1等陸尉になる前に師団司令部に配属されました。
残念ながら師団司令部での業務について、詳しく説明することはできません。
この時期の生活はこんな感じです。
残業は月80時間程度。民間だとブラック企業扱いされるレベルですね。
師団司令部で勤務すると、野営訓練だけでなく、訓練検閲、出張や研修などで土日はかなりつぶれます。
しかも平日は決められた業務があるので代休を消化することもほとんどありません。
また、師団司令部で勤務していると災害派遣も多いので、家に帰れない日々が続きます。
以上のことから師団司令部は激務といえるでしょう。
幹部自衛官の激務の真相:方面総監部
私はAOC卒業後に方面総監部に配属されました。
師団司令部と同じく、方面総監部での業務については、詳しく説明することはできません。
この時期の生活はこんな感じです。
残業は月200時間程度。生きているのが不思議なレベルですね。
方面総監部は師団司令部ほど訓練はないのですが、出張や研修、平日の積み残しなどで、やはり土日はつぶれます。
平日は多忙すぎて代休を消化することができません。
勤務時間を見ておわかりのとおり、太陽を見ることができない日々が続きます。
以上のことから方面総監部は文句なしの激務でしょう。
幹部自衛官の激務の真相:約12年間を振り返って
私の約12年間の勤務歴を振り返ってみました。
まとめてみるとこんな感じです。
私の勤務歴からは師団司令部以上が激務でした。
陸上幕僚監部は配属というよりは一定期間の支援でしたが、やはり大変でした。
なかには月曜日に出勤して土曜日の朝に帰宅する先輩もいましたね。
しかしながら、師団司令部や方面総監部でも早く帰る幹部自衛官もいます。
要はどんな業務を担当するかですね。
幹部自衛官が教える激務の理由
私の勤務歴から、師団司令部以上が激務である理由を考えてみました。
よく「業務量が膨大」とか紹介している人がいますが、それでは激務の理由になりません。業務量だけなら、私がいま勤めている外資系企業の方が圧倒的に多いです。
幹部自衛官の特性を踏まえると、激務の理由は後半の3つになるでしょう。
幹部自衛官の激務の理由:特定秘密が多い
師団司令部以上に勤務するようになると、少なからず特定秘密を抱えるようになります。
あまり詳しくは言えませんが、特定秘密の業務はいろんな制約があります。
通常の業務のようにサクサク進めることはできません。
なので、業務量の多い少ないに関わらず時間がかかってしまうのです。
幹部自衛官の激務の理由:偉い人が多い
師団司令部以上には、将補以上の方々がいます。
方面総監部や陸上幕僚監部になると、本当に多くなります。
将官クラスが関わる案件は業務がサクサク進みません。
将官の予定がなかなか取れない上、上司の指導も厳しくなります。
また、将官の一言で仕事が激増することもあります。
自分の業務が将官の関心事項になると、報告事項も増えますし、上司からもあれこれ聞かれるようになります。
なので、偉い人が多くなると激務になりがちです。
幹部自衛官の激務の理由:政治的なことが多い
これは私が従事していた業務の特性かもしれませんが、師団司令部以上になると政治的なことに左右される業務もあります。
市町村などの地方自治体レベルから国会や官邸などの国家レベルの案件に関わることもあります。
このような業務は、議会や国会、報道で一気に事態が動くのでコントロールできません。
なので、政治的な関わりのある業務を多く持つと激務になりがちです。
まとめ|幹部自衛官が教える激務の真相と理由
以上が『各級司令部で勤務した幹部自衛官が教える激務の真相と理由』です。
まとめると以下のとおりです。
このようにすべての幹部自衛官が激務というわけではありません。
どのような幹部自衛官人生を歩むかで激務かどうかも大きく変わります。
要は「激務 + 出世」をとるか「楽々勤務 + 窓際」をとるかです。
そう考えると、一般的な企業と同じですね。
転職をお考えの方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
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