世の中では、ベンチャーから大企業に入るとか無理ゲーだと言われてます。確かに誰でも転職できるほど簡単ではありませんが、全然無理ではありません。
実際に僕も27歳の時に社員15人のベンチャーの営業職から東証一部上場企業の企画職に転職してますし、周りでも何人も事例をみてます。
ベンチャーにいるとついつい大企業批判のポジションを取る人がいますが、実際問題ベンチャーには向き・不向きがあるのは事実。
今ベンチャーで働く人でも、大企業に転職した方がカルチャーフィットして成長できるかもしれません。自分が合っていない会社で働き続けるのは誰も得しません。
この記事では、実際に僕がベンチャーから大企業に転職した経験を踏まえて、下記の内容を解説します。
ベンチャーから大企業への転職が増えている2つの背景
大企業がベンチャー企業出身者を採用する事例は多くなってきました。理由は次の2つ。
- 大企業側がベンチャー企業出身者を採用する必要が増えた
- ベンチャー企業で働く人が増えたため
大企業側がベンチャー企業出身者を採用する必要が増えた
1番大きな理由は、大企業がベンチャー企業出身者を必要とするシーンが増えたからです。
なぜ、大企業がベンチャー出身者を採用するのか?それは、単純に言うとスキルが高いからです。
大企業がベンチャー出身者に期待しているのは大きく以下の3つのスキルやマインド。
- IT関連の知識・スキル
- マネジメントスキル
- 圧倒的な当事者意識
IT関連の知識・スキル
大企業はこれまでオフラインの事業を中心にして規模を拡大した会社が多いですよね。しかし今やITが関わらない業界はありません。
いざITに絡めた新しい事業を立ち上げようとしても、これまでやったことがないので社内に対応できる人材がいません。なので、他社から知見のある人材を中途で採用する流れになります。
- 自社HPから集客をできる人材が欲しい
→SEOマーケターが必要 - 自社製品をSNSを使って海外の人に販売したい
→SNSの広告運用やマーケティング担当者が必要 - 会社全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)をしたい
→ITコンサルタントなどDX経験者が必要
また、大企業の社員は平均年齢が高く、ITに関して疎い人が多いです。役員ですらもITをまともに使いこなせている会社は少ないです。
そんな中、デジタルトランスフォーメーション(DX)などの改革が急務となっているので、ITスキルのある人はもちろん、ITへの適応能力が高い若い人のニーズが高くなっています。
なので、大企業では希望退職を募ってどんどん無能な中年社員を切っていく一方で、IT人材には高い年収を提示してでも採用しようとしています。
マネジメントスキル
大企業では年功序列がまだ色濃く残っており、だいたい管理職に就けるのは30代~40代ぐらいでしょう。
一方、ベンチャー企業ではとにかく人が足りないので、多少経験不足でも20代中盤~20代後半でマネージャーポジションに就くことは珍しくありません。
そして、経営者から振られる無茶振りにも対応することが求められます。ベンチャーではコロコロ方針が変わるからですね。
経済状況の変化が激しくなっている中で、大企業でもこのような臨機応変に対応できるマネージャーが求められています。
もはや人を管理しているだけの役に立たない管理職は必要とされず、チームを引っ張っていき、事業を成長させられる人材を大企業も必要としているのです。
圧倒的な当事者意識
『圧倒的な当事者意識』といえばリクルートを連想しますが、ベンチャー企業では否が応でも当事者意識をもつことになります。
自分が売上をあげないと、来月には会社がなくなってしまうかもしれないからです。
一方、大企業で働く社員は、
自分は歯車の一つにすぎない
と感じている人も少なくなく、モチベーションも低くなっています。
また、危機感が薄く、会社の変革に対して後ろ向きな人が多いので、どんどん会社を変えていってくれるベンチャー出身者が求められるのです。
そもそもベンチャー企業へいく人材が増えた
さらには、ベンチャー企業へ行く人材が増えてきていることも理由としてあります。転職市場でベンチャー出身者が増えているので、大企業もベンチャー出身者を採用するのが当たり前になってきているのです。
ベンチャー企業へ行く人材が増えているのは、資金調達しているベンチャー企業の数が増えてきていたり、資金調達の額が増えてきたりしているためですね。
2019年以降、資金調達をした企業数は減少傾向ですが、資金調達額はずっと増えてきています。
ベンチャー企業も人をどんどん雇っていきますし、最初は中途採用市場で経験者をとることがほとんどですから、ベンチャー企業の数の増加に伴ってそこに就職する人の絶対数が増えていることが予想できます。
また今では東大京大などの一流大学卒の優秀な学生が新卒でベンチャーを選ぶというケースも徐々に出てきていますので、ベンチャーで働く人 = 一部の変わり者・リスクをとっている人ではなくなってきました。
現に僕の京大卒の友達でも、三菱商事やマッキンゼーなどの大企業を辞めてベンチャー企業に転職する例を何人も知っています。
ベンチャーから大企業に転職するデメリット
ベンチャー出身者を採用する大企業が増えてきていますが、もちろんベンチャーと大企業は違うことがたくさんあります。
それに伴い、ベンチャーから大企業に転職した当初は戸惑ってしまう人も多いです。
ベンチャーと大企業で主に違うのは以下の2つです。
- 物事を進めるスピード感は遅くなる
- 何も考えなくても仕事が回ってきてしまう
物事を進めるスピード感は遅くなる
大企業では何人ものチェックを挟むことが多いです。その関係で仕事を進めるスピード感は遅くなってしまいます。
ベンチャーから転職をすると、そのスピード感の遅さに苛立ってしまうかもしれません。
しかしこれは仕方のないことで、大企業の場合は1つの意思決定が与える影響範囲がベンチャーに比べて大きいので、それだけ慎重に検討をする必要があるだけです。
何も考えなくても仕事が回ってきてしまう
大企業でのほとんどの仕事は完成された仕事のオペレーション業務です。なるべく早く効率的に仕事を回していくことが求められるでしょう。
ある程度は仕事内容を変えたり改善したりする余裕はありますが、基本的には細分化された業務を各々がこなしています。
すると「仕事を生み出す視点」というのはなかなか持ちづらくなってしまいます。
ベンチャーから大企業に転職するメリット
逆に、大企業にはベンチャーでは得られないメリットもあります。例えば、以下の4つです。
- 特定のスキルを磨くことに専念できる
- 高い年収をもらいやすい
- 特定のスキルに秀でた優秀な人が多い
- 多角的な視点から物事を考える機会が多い
特定のスキルを磨くことに専念できる
ベンチャーに比べ、大企業では自分のミッションがはっきりしているので、特定のスキルを磨きやすい環境になっています。
逆にベンチャーでは、会社の成長のために必要だと思えば、今自分がなんの役職であるかは関係なく行動する必要があります。
社長だって営業するし、メンバーだって新規事業開発をします。
ベンチャーではなんでも屋さんになりやすいです。
高い年収をもらいやすい
これは会社の業界や方針によって変わりますが、ベンチャー企業に比べると、大企業の方が年収は高くなる傾向にあります。
理由は、大企業の方が一人あたりの動かせる金額が大きくなるためです。
仮に利益率が同じ30%だったとしても、社員1人が動かせる金額が1,000万円と1億円では、得られる利益に10倍の差が生まれます。
そのため、1人当たりの利益の額が大きくなり、会社が支払える給料の額も大きくなりやすいのです。
特定のスキルに秀でた優秀な人が多い
先程も言ったように、大企業では業務が細分化されています。そのため、特定のスキルに秀でた優秀な人はベンチャーよりも多くなります。
また、大企業は社員数が多い分、数では優秀な人が多い可能性が高いです。
もちろん自分の部署にいるかどうかは別ですが、社内には必ず他部署からも噂されるような優秀な人材がいます。
自分次第で、その人にアプローチして話を聞いたり相談に乗ってもらうことができるので、そのような環境は貴重です。
多角的な視点から物事を考える機会が多い
大企業では決裁をとるのに複数レイヤーの承認が必要です。確かにスピード感は落ちますが、その分自分だけでは思いつかない色んな視点を得ることができます。
自分一人だとMECEに考えきれてなかったり、打ち手がショボかったりするので、フィードバックを受けられるという意味で大企業は良い環境です。
ベンチャーから大企業に転職した感想【実体験】
実際に僕もベンチャー企業から大企業に戻ったのですが、ベンチャーと大企業の共通点/違う点を身にしみて感じています。
共通点:活躍できる人はどこに行っても活躍できる
両方で働いてみて思ったのは、どんな環境でも活躍できる人は活躍する、ということ。なのでまずはこのような無双状態を目指すべきです。
こういう人は、ベンチャーだろうが起業しようが成功する確率高いだろうなと思います。
相違点:意思決定のプロセス
一方で、意思決定のプロセスはやっぱり違うなあと思いました。
ベンチャーでは最終的には営業マネジャーだったのですが、メンバーの時から何か新しいことをするときに役員に許可を求めることはなく、自分で判断をして実行するように言われていました。
一方、大企業では何かを決める時には「決めるプロセス」を決めてから何度もミーティングを重ねて関係部署とのすり合わせが必要です。なので必然的に検討から実行までのスピードは遅くなる。
しかし、今の会社だと、自分が決定した戦略が、3,000人ほどの営業マンの行動に影響すると思うと、優先順位として「分析の緻密さ>結論を出すスピード感」というだけかと納得してます。
もちろん「深く」「早く」検討をするのが一番ですが、会社の規模によって優先順位が変わるというだけです。
ベンチャー・大企業で求められる能力をまとめると下記の通りです
ベンチャーから大企業に転職するときのポイント
これまで見たように、ベンチャーから大企業に転職するケースは増えてきています。
しかし簡単に転職できるという訳ではありません。転職の際のポイントを下記にまとめました。
- 何か1つ実績を残してから転職する
- 中途入社の割合が多い企業を選ぶ
- 入社後は、仕事の進め方はまずは入った企業のやりかたを真似る
何か1つ実績を残してから転職する
実績はどの転職でも有利に働きますが、ベンチャーから大企業への転職であればなおさら実績を残しておいた方がいいです。理由は次の2つ。
- 大企業のようなハロー効果(※)が使えないため
- ベンチャーは探せば成果をすぐに出せそうな余地がたくさんあるため
※ハロー効果:社会心理学の用語で、ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる現象。「あの人は大企業に入ったんだからある程度能力があるはずだ」のような感じ。
ベンチャー出身者が求められているとはいえ、成果が出せてなかったり、スキルが無かったりすると、転職するのはそう簡単ではありません。
中途入社の割合が多い企業を選ぶ
大企業に転職しても、その企業でうまく馴染んで成果を出せなければ転職した意味がありません。
大企業の中には、中途入社者の割合が少なく転職した人が肩身の狭い思いをする環境があるところもあります。
なので中途入社の割合が多い企業選んだ方が活躍しやすいでしょう。その方が周りも中途入社者の扱いに慣れているためです。
入社後は、仕事の進め方はまずは入った企業のやりかたを真似る
ベンチャーでは仕事のやり方が決まっておらず自分次第の部分が多いですが、大企業はすでに仕事の仕方が決まっているところがほとんど。
最初から我流を出しても周りと仕事が進めにくくなるだけです。
まずは「郷に入れば郷に従え」で会社のやり方に従いつつ、徐々に自分のオリジナリティを出していくのがポイントです。
まとめ|ベンチャーから大企業への転職は早めに判断すべき
最後に、自分自身の経験から皆さんに1つだけアドバイスをさせてください。
ベンチャーから大企業への転職を考えているなら、次の2通りしか道はないと思っています。
- 圧倒的に誇れる成果を出して、実績を引っさげて転職
- (今も今後も成果がでなさそうなら)今すぐに転職
煽りみたいになってしまって恐縮なのですが…これが事実です。
大企業に勤めていると「あと1,2年様子を見て転職しようかな」と言って転職活動をしても、”大企業”の看板があるので実績問わずある程度は選考してもらえます。
ただ、ベンチャーに勤務していて目立った実績がない場合「この人はベンチャーで何をしてたんだろう…」と企業側から見られてしまいます。
採用側もベンチャー経験者に期待するのが「高い当事者意識を持って成果をあげた実績」だからです。
しかし、成果をあげられるかどうかは会社の状況・マーケット環境・チームメンバーの能力などによって左右され、自分次第だけではないのが難しいところ。
なので成果を出せそうにないと思ったなら、ベンチャー在籍歴が長くならないうちに早めに転職活動をする方がベターになります。
後から後悔しないように、転職する・しないに関わらず、エージェントを通じて情報収集だけでも早めに動いておくことをオススメします!
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