僕はこうしてベンチャーで同僚をクビにした

ベンチャー転職
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ベンチャーは成果主義だからクビになるとかあるのかな。
クビになったらどうなるんだろう

こんな不安を抱えている人もいると思います。

トニー
トニー

実は僕は前職のベンチャーで退職勧奨に関わったことがあります。。

あまり良い経験ではないのですが、その時の経験を思い出しながら書きました。

僕はこうしてベンチャーで同僚をクビにした【実話】

前職では、僕はセールスチームのマネージャーでした。

給与査定会議は年に2回。基本的にはCEOや執行役員など経営メンバーのみが参加していました。

僕が現場に近い責任者なので社員の実力がわかるだろう、ということで、ある時から経営陣に混じって一緒に社員の給料を決めていました(自分の給料も含め)。

とある日の給与査定会議にて、社長から次のような質問を投げかけられました。

社長
社長

直近のPLが厳しいので人員整理をしたい。
Aさんは、今後成長する余地ありそう?
新卒を採用して育成するのと、彼らの成長を待つのとどっちが期待値高い?

当時はエンジニア、バックオフィス以外のメンバー(セールス、CS、事業企画など)を見ていたのが僕だったので、これはすなわち「Aさんをクビにした方がいいと思う?」という質問。

トニー
トニー

えっ、そもそもそんなこと俺に聞くなよ…社長が決めろよ…。
というかそもそもクビってそんなノリでオプションとして出てくるものなの!?

とかなり驚きました。

ふと顔を上げて、会議に参加していた他の経営幹部の顔を見ると、全員僕の発言待ち。

一緒にやっていたAさんは、僕より10個ほど年上で一緒に1年ほど仕事をしていました。良い点悪い点は次のような感じです。

【良い点】

  • クライアントの業界には精通している
  • 勉強熱心
  • 頑張り屋さん(スタンスは良いし素直)

【悪い点】

  • 営業成績は中の下
  • 要領は良くない
  • 頭がいいわけでもない
  • ITに強いわけでもない

 

一方、今いる新卒の社員は、Aさんと同じような給与水準で、学生時代に起業経験がありました。

つまり、Aさんと同等の給与でより優秀な学生を雇うことができるということです。そしてこれからの伸び幅も大きい。

「新卒を採用して育成するのと、彼らの成長を待つのとどっちが期待値高い?」という質問をされれば、間違いなく「コスパ」の観点では新卒採用の方が良いことは自明でした。

なので、当時の僕は、

トニー
トニー

新卒採用の方が期待値高いと思います

と答えて、結局その会議では、僕が最終的に出した意見をベースにして、Aさんの他に3人が実力不足として認定されました。

こうして僕は自分の同僚をクビにしました。

僕から退職勧奨をAさんに伝える時、僕が考えた退職勧奨理由は薄っぺらく、Aさんも僕が言いくるめようとしているように感じていたと聞きました(後日談で、すごく恨まれているとも聞きました)。

 

解雇と退職勧奨との違い

「クビ」という表現を敢えて使いましたが、そもそも日本では、解雇というのは法律上かなり厳しい規制がされていて簡単にはクビにできません。

なので、僕がやったのは正確には「退職勧奨」になります。

【解雇】客観的・社会的合理性の元、使用者側が労働者側に対して、一方的に雇用契約を解除する通告をすること。
※なお、解雇には普通解雇/整理解雇/懲戒解雇があります。詳しくはこちら

【退職勧奨】退職を勧めること(つまり強制ではない)。

退職勧奨はあくまで「お願い」なので、退職勧奨をされた従業員はそれに従う必要はありません。

なので、もしあなたが会社から「そろそろ辞めたらどうだ?」と言われても、あなたがYESと言わない限り、あなたはその会社で働き続ける権利があります。

 

そうはいっても、実態は退職勧奨をされたら今の会社に愛想が尽きて辞めたくなるのが人情です。また、仮に会社に残っても本人も仕事がしにくいでしょう。

退職勧奨は実質は「あなたはもう使えないから会社をやめてくれ」ということなので、戦力外通告と同義です。結局は残ってもしょうがないので、そのまま退職勧奨を受け入れるという事例が多いと思います。

 

ベンチャーってクビになりやすい?クビになったらどうする?

ベンチャーだからといって成果が出なければ即クビになる、ということは有り得ません。

ただ、自身の経験から思うことは、ベンチャーは大企業に比べてガバナンスが効いていないので、正直労使関係についてはその会社のモラルに大きく依存します。

つまり、

  • ちゃんと仁義を守って雇用関係を維持する経営スタンスか
  • 人材を単なる駒としか見ておらず、業績と連動して人員を採用・削減する経営スタンスか

は、ベンチャーの経営陣に寄るところが大きいということです。

実際には話はそんなに単純な二者択一ではなく、無限にグラデーションがあるのですが、ベンチャーの方が大企業よりも、退職勧奨などのトラブルが発生しやすいとは思います。

なぜなら、世間やメディアなどの監視の目がないからです。

 

退職勧奨後に退職をすると、当たり前ですが無職なので、転職先を探さなければなりません。

さすがに僕がいた会社でも、退職時期については退職者と調整をして、本人の次の転職先を見つけるだけの十分な引き継ぎ期間を設けていました。

しかし、前職の同僚は全員30代前半〜後半で、現職のベンチャーでは役職者でもなくそこまで語れる実績もないので、これまで経験がある同業界のツテを辿ってなんとか転職をしていきました。

トニー
トニー

中にはそのまましばらくニートになっている人もいて、控えめに言って彼らのキャリアにとって超マイナスだったと思います。。

 

最後に|事前に会社を見極める努力を惜しまない

実際に自分で経験してみて感じたのですが、同僚をクビにするのは全然楽しい仕事ではありません。

確かに、当時の経営状況を考えると、パフォーマンスしない社員を雇うだけの財務的な余裕はありませんでした。また、同じ教育コストをかけるなら新卒の方がリターンが大きいように思いました。

とはいえ、解雇にしろ退職勧奨にしろ、その人の人生を左右する話なので相当慎重に考える必要がある内容です。

 

上記の人員整理の過程で、僕自身も会社のカルチャーへの理解が深まりました。具体的には次のような感じでメガティブな感情をいだきました。

  • 社長の人となりが(悪い意味で)よく理解できた
  • 退職勧奨するまでの経営メンバーのスタンスに疑問を感じた
  • 退職勧奨後は噂も広まり会社全体で陰口が増えたりと、僕自身会社に対してあまりいい印象を持てなくなった

入社前に遡って、社長の人となりや会社のカルチャーを事前に知っておけたかと言うと難しいでしょう。しかし、調べてわかることもあります。

ベンチャーの会社のカラーは経営陣(特に社長)に良くも悪くも大きく影響を受けるので、ベンチャーへの転職を検討する人はエージェントの意見やSNSでの情報収集に加えて、面談を通じて自分も会社側をチェックしましょう。

具体的にどうやって良いベンチャーを見極めればいいのか?については下記でまとめているので是非ご参照ください。

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