毎月ごく普通に支給される給料。
皆さん給料に添付される明細を細かくご覧になっているでしょうか?
総支給が25万円で手取りは20万円弱・・・。
目にするのは実際に口座に振り込まれる額面だけで、その詳細はよく確認していない。
しかし、ここで自分の明細をしっかりと確認しないと、トータルでかなりの搾取を被っている可能性があり得ます!
なぜなら、ブラック企業ほど基本給を異常なまでに低く設定しているからです。基本給を低く設定するのは給料を搾り取るため。
もし基本給が異常なまでに低いのであれば、転職エージェントに早めに相談し、転職の準備を始めたほうがいいかもしれません。
この記事では、基本給を低く抑えたい企業の裏の思惑について紹介します。
給与明細が無い会社はかなり危険
まず初めに、基本給うんぬん以前にうちの会社は給与明細自体が無い。手渡されない。
もしかしたらこういったあまりにも闇の深いブラック企業にお勤めの方もいるかもしれません。
しかしこの給与明細を渡さないと言う行為、完全に違法です。
給与明細書(所得税法第231条)
引用元:労働条件・職場環境に関するルール|厚生労働省
所得税法では、給与を支払う者は給与の支払を受ける者に支払明細書を交付しなくてはならないと定められています。したがって、会社には従業員に給与明細書を交付する義務があり、給与を支払う際に交付しなければいけません。
このように法律で決まっています。
基本給うんぬんかんぬん以前の問題でしょうが、もし自分が勤めている会社がこのような会社の場合は一刻も早い転職をおすすめします。
経営者である以上は最低限の法律は知っているでしょうし、第一、普通は経理専門の事務員がいるか、いなければどんなに小さな会社でも税理士事務所に委託しているはず。
にも関わらず、明細が発行されないということはそれ相応の事情、社員に知られたくない事情を抱えていると判断できます。
基本給は低ければ低いほど会社側にメリットがある
基本給が低い事で被害を被るのは従業員側です。裏を返せば、会社経営側にとってはメリットしかありません。
なぜなら、以下のような手当てやボーナスなどの金額は、全て「基本給」をベーズに計算されるからです。
- 残業代
- 休日手当
- 深夜手当
- 退職金
- 賞与
- 昇給額
そのため、大手有名企業でもわざわざ基本給を低めに設定している会社もあるぐらい。
基本給を低く設定すれば、反映される賞与や残業代も低く抑える事ができるために、会社側にとってはメリットに働く事が多い。
汚い言い方をすれば、「人件費を抑える都合上」こういった仕組みを採用しているとも見て取れるのですね。
さらに言えば、ブラック企業の場合は基本給を低く抑える理由は「人件費削減」と同時に別の思惑もあります。
基本給の低さを「みなし残業手当」で高待遇を装う
給料25万円支給(みなし残業手当含む)
こういったフレーズはよくみかける光景かと思います。
実はこれ、蓋を開けてみるとかなり巧妙に練り上げられたカラクリになっている事に気付きます。
特に「みなし残業手当含む」という部分。
よくありがちなのが、
- 基本給15万円+固定残業手当10万円
- 基本給16万円+みなし残業代9万円
こういった内訳。
あなたはこれが何を意味しているかお分かりでしょうか?
これ、簡単に言えば「ウチは残業代は支給しません」と公言しているのと一緒です。
ブラック企業ほど基本給を無理やり低く設定します。その理由は、従業員に超長時間残業させたいからに他ならない。
ですが、残業させれば残業代支給の義務が生じる。
昨今のサービス残業の問題もあり、いくらブラック企業といえど残業代をゼロにするわけにはいかない。訴訟のリスクもある。
そこで取るのが、基本給を著しく下げて、残業代はキッチリ払ってる風を装う作戦です。
長時間拘束で残業するのは確実なので、残業代込みなどと謳い、キッチリ残業代を支払っていることにするのです。
ウチは残業代込みで25万円。
仮に残業がなくてもみなし残業なので、25万円分の給料は必ず保証するから。
建前はこんなことを言う。
しかし、こういったカラクリを用いている会社の場合、残業発生はもちろんのこと、はるかに初期設定以上の残業を強いられる事が普通。
いわゆる、みなし残業以上に働かされて、超過分は支払われないというやつです。
80時間分の残業代込み。こんな事を謳っていながら、80時間以内に残業時間が収まることなどは到底なく、それこそ200時間オーバーの労働を強いられる事も。
もちろん80時間を過ぎた分の残業代は支給されない。
基本給を低くし、「うちは残業代はしっかり払っている」風を装っているのですね。
まさに残業代のトリックと言えます。恐ろし過ぎます。
ボーナスを表面的に誇張できる
ボーナスは、「基本給」をベースにして計算されるのが一般的です。
例えば、
総支給額28万円(基本給20万円+役職手当5万円+残業代3万円)
この形の場合には、基本給の20万円をベースにして、掛ける何ヶ月分といった感じで計算される。
これが普通の企業のオーソドックスな考え方です。
しかしです。
搾取が根底にあるブラック企業は一筋縄ではいきません。
そもそもボーナスの支給自体がないブラック企業もありますが、人手が集まりにくくなるなどの理由で、一応はボーナスを設けてはいる。募集の都合上、そうせざるをえない。
そこで、基本給を異常なまでに低く設定する事でボーナスを沢山支給している風を装う行為にでる。
極端な話、総支給25万円の中で基本給は「5万円」。こんな設定をしている会社も往々にして存在します。
これが何を意味するのかというと、
ボーナスをふんだんに支給している会社だと偽装できるのです。
- ボーナス1年目から4ヶ月分支給!
- 頑張ればがんばった分ボーナス支給(6ヶ月分)!!
基本給を低く設定すれば、こんなフレーズを堂々と掲げる事が可能になります。
この会社すごいぞ!ボーナスは一回で4ヶ月分もでるのか!
こんな錯覚を覚えますが、蓋を開けてみれば、その実態はさもありなん。
基本給5万円の4ヶ月分ってね・・・。
普通じゃん・・・。
これがオチなのです。
退職金の制度に関しても同様の事が言えます。そもそも退職金自体でない会社が多いですけどね、ブラック企業は。
入社早々から基本給を異常に低く設定する会社は、とにかく社員を使い倒してやろうという意図が見えます。
謎の手当で給料を誇張できる
入社したばかりの新人さんは、「役職手当」や「職務手当」などの手当がつかないのが普通です。
そのため、基本給をあまりに低く設定し過ぎてしまうと、残りの給料の帳尻をあわせる必要がでてしまいます。
「みなし残業手当」で無理くり帳尻をあわせる事ができますが、
基本給5万円、みなし残業手当20万円
ではあまりにも露骨。
そのため、
- 何の調整か分からない調整手当
- 繁忙期じゃないのに繁忙手当
- 事務職なのに営業手当
- 意味不明な窓口手当
こういった、無理くりの手当で残りの給料の穴埋めがなされているのもブラック企業の特徴といえますね。
手当を沢山つける事で、「手厚い会社」といったイメージを表面的に構築しています。
しかし、こんな上辺っつらの手当に騙されてはいけません。ただ基本給を低く設定し、残業代逃れ、ボーナス逃れを画策しているのです。
最低賃金を下回る基本給は違法
ではこれだけ企業の都合がいいように基本給が下げられている場合、違法とはならないのか?
結論から言うと、最低賃金を下回っている場合は違法となります。
最低賃金法には以下のように記載されています。
(最低賃金の効力)
第四条 第一項
使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。第四条 第二項
引用元:最低賃金法|e-Gov法令検索
最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。
なお、最低賃金法の「労働者」とは、正社員・アルバイトなどの雇用形態や職種などに関係なく、会社に雇用されていて給料をもらっている全ての人を指しています。
最低賃金を下回っているかどうかの判断方法
では具体的に、月給制の場合を例に、最低賃金を下回っているかどうかを判断する方法を紹介します。
例えば、給料の内訳が以下のようになっていたとします。
基本給 | 120,000円 |
職務手当 | 30,000円 |
通勤手当 | 5,000円 |
残業代 | 35,000円 |
合計 | 190,000円 |
このうち、通勤手当と残業代は最低賃金の対象となりません。
なので、その2つを除いた給料をもとに時給換算します。
労働時間は1日9時間、月の勤務日数は20日だとすると、
(190,000円ー5,000円ー35,000円)/ (9時間 × 20日)=833円
となり、時給は833円となります。
この時給が最低賃金を下回っているかどうかです。
なお、最低賃金には以下の2種類あります。
地域別最低賃金というのが、一般的に言われている最低賃金です。地域における労働者の生計費、賃金、通常の事業の賃金支払い能力などを基に決定されています。
特定(産業別)最低賃金というのは、地域別最低賃金よりも高い金額の最低賃金が必要と認められた産業について設定されています。
地域によって認められた産業は異なりますが、鉄鋼業や自動車製造業、百貨店・総合スーパーなどは、多くの地域で特定(産業別)最低賃金が設定されています。
まとめ|基本給が低いのは搾取されている可能性が高い
基本給が低い会社は社員にとってデメリットしかありません。簡単に言えば搾取です。
- ボーナスを下げる
- 残業代を逃れる
ために低く設定している。
もしあなたがこの記事をお読みになり、
これ、そのまんまうちの会社に当てはまる!
というのであれば、将来を考えた方がいいです。稼ぎたい!という意思があればなおのこと。
人手不足で長時間労働が問題になっている今、あからさまに「人」をないがしろにする会社は考えもの。
新卒でも内定を2桁獲得する時代なので、転職して待遇が悪化するのはもはや昔の話。
やったらやった分、ガッツリ稼ぎたいと考えるのは前向きな発想ですよ。
なお、基本給が高く、ボーナスもガッツリ支給される会社で働くには「転職エージェント」を使うのが一番手っ取り早いです。
転職エージェントは人を紹介してマージンを受け取るビジネスモデルです。
エージェント側は紹介した人材がすぐに退職してしまうと報酬を減額されたり、ペナルティを課されたりなどの不利益を受けます。
なので、紹介した人が可能な限り長く働いてもらうことを望むため、ホワイト企業を優先的に紹介してもらえます。
企業と太いパイプラインがあるために基本給のことや、内部事情など込み入った事も熟知しています。
年収交渉や、業界ごとの給料のガイドラインも教えてくれるので収入アップの強い見方にもなってくれます。
利用は無料ですし、転職するかどうか決めてなくも利用可能なので、とりあえず登録だけしておいて、紹介される求人の待遇の良さを見てみるという使い方もアリです。
ただし、転職エージェントの中には、ブラック企業でもいいからとにかく紹介数を伸ばして利益を伸ばそうとしている悪質なエージェント会社もあります。
それを避けるためにもおすすめの転職エージェントを選びましたので、最後に紹介します。
おすすめの転職エージェント
リクルートエージェント
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LHH転職エージェント
LHH転職エージェントで年収アップしている人多数!キャリアアップを目指す人向けの転職エージェントで、外資系、法務・経理などの管理部門、第二新卒などの転職に特に強いのが特徴です。
世界でもTOP3位に入る人材会社のアデコグループが運営しており、細かなカウンセリングによる高いマッチング精度が売り。
普通のエージェントは転職者と企業側の担当が分かれているところ、LHH転職エージェントは1人で転職者と企業側を担当しています。そのため、企業カルチャーとの相性まで見極めることが可能です。
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