遠方から仕事を探す際に、給料や休日の待遇以外にも目がいく部分があります。
寮完備
特にたいした蓄えやもない人や身寄りのない人にとっては願ってもない高待遇に見えてしまいます。
しかし実はこれ安易に飛びつくと痛い目にあいます。
寮完備の会社にブラック企業が多い理由を解説します。
寮完備は人員を使い倒すための手段
寮や社宅などの制度は、有名大手企業などでも完備している事が往々にしてあります。
入社間もない新人のための独身寮や、遠方に異動になった社員のためにあてがう社宅などがそのいい例です。
アパートを一棟借りしてそこに新入社員を入居させていることも多い。
これは新人の教育と格安の寮費といった福利厚生をかねた堅実な仕組みといえ、ブラック企業とは無関係に見えます。
しかし、ブラック企業で寮完備をしている会社は別の目的で設置しているのです。
何か?
それは寮に入った社員を使い倒すためです!
寮に入ることで帰宅時間を関係なくする
よくありがちなのが、寮に入れることで終電が関係なくなること。
会社やお店の近辺に住ませる事で、就業時間を再現なく伸ばすのです。
労働時間の長いアパレルや飲食などのサービス業でよくみられるやり方です。
表向きは、
キミはいつも頑張ってるから、そろそろ寮に入りたまえ!
初期費用は会社が持つからな
などの甘い言葉をかけてくる。
その本当の意図は深夜になっても近場に帰るところはある状態を作り出すため。
寮費も2~3万円程度で給与から天引きされているため、状況がよく分からずお得感を感じ安易に入ってしまう人が多い。
なまじワンルームで小奇麗な部屋を与えられると、
やった!いい会社に入った、助かった!
と福利厚生が充実している会社だと錯覚するのです。
ところが、しばらくすると異変に気付きます。
寮をあてがわれたものの、部屋に帰る時間がほとんどないのです。
言えば、寝るためだけに家に帰るような状態に陥っている。
会社側からは、あいつは寮があるからという理由で、
こういった事が起きてくるのです。
しかも入寮すると、なぜか会社から住まわせてもらっているという、謎のお世話になってる感を味わう。
そのため多少、仕事がきつくても言うに言い出せなくなるのです。
周囲も寮生ばかりだと異常に気づかなくなる
なかには独身者全員に寮をあてがっているブラック企業も存在します。
これは、寮生全員を残業代を払わずに長時間引っ張ることで、利益を捻出させるという目的もありますが、全員を同じ環境に置くことで違和感を感じさせなくするという狙いもあります。
周りも皆んなが帰れない
みんな長時間労働
ということになれば、
大変なのは自分だけではない
と思い込み、異変に気づきにくくなってしまう。
実はこれ、心理学的にいうとリスキーシフトと呼ばれる心理作用です。
リスキーシフト(英: risky shift)とは、社会心理学の用語で、集団の合意形成の過程においては、極端な言動が注目されやすいことにより、危険度が高い(リスキーな)アイディアが賛同を得られやすくなることをいう。
引用元:リスキーシフト|ウィキペディア(Wikipedia)
自分一人だけではおかしいと感じている事でも、集団で全員が同じ環境におかれると、おかしいと感じなくなってしまう傾向です。
よくある例え話が、
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
これはリスキーシフトの典型で、本来、個人で考えればどう考えてもおかしい事が集団で実行することで違和感が薄れてしまう。
ブラック企業が厄介なのは、こういった心理作用を知っててやっている点。
寮完備のブラック企業はまるで、
「寮完備。みんなで働きゃ怖くない」
とでもいうような集団心理に落とし込まれているのですね。
さらには寮に入る事は、実家から離れる事も意味します。
すると、どう考えてもおかしいと感じる唯一の部外者である家族の視点を離れることにもなるので、ますます気づかないという悪循環が加速していく。
入寮の契約書に重みを持たせる
入寮に際してはホワイト、ブラック問わずに契約書が必ずあります。
これは単純に、賃貸借契約法の関係上に会社と大家さんとの間で契約をかわすことを意味し、自分個人が会社の連帯責任者になったりするケースも稀にある。
更にこれとは別に、会社単体で社員と入寮の契約書をかわすパターンもあります。
この契約書自体は問題ないのですが、中には罰則の規定を設ける会社もあります。
よく見かけるのが、
「入寮して1年以内に退職した場合には、かかった初期費用の全額を支払う」
といった旨の内容。
実はこれ、ある意味でえげつないブラック企業独自の手法が潜んでいるのです。
寮を使いまわし利益捻出
ブラック企業ではその過酷な労働環境から、退職する人が後を絶ちません。
寮をあてがったものの、瞬く間に退職した。こんな話も珍しくないのですね。
すると、契約はしたもののアパートの寮はもぬけの殻。こういった事が普通におきてくる。
ところが契約し即解約ともなると、企業側として不動産会社との関係の兼ね合いもあり、その後の契約がしづらくなってくる。
そのため即座に解約せずに、空のまま物件契約を続行するなんてこともあるのです。要は家賃だけ払っている状態。
大量入社、大量退職のブラック企業では、応募する人も誇大広告につられ集まってきます。
新たな新人に新しい寮をあてがうのは早期退職というリスクを伴うため、ブラック企業では過去に辞めた社員が住んでいた住居をあてるといった事を考えます。
これはある意味で、節約的な部分もあるので効率的とも言えるのかもしれません。
しかし問題なのは、ここで、さも新規で物件契約したかのように振る舞う行為。
入寮の契約書を書かせ、1年以内に辞めたら初期費用にかかったコストを弁償してもらうといった旨の契約書を同様に書かせるのです。
仮にこの二人目の人間も短期スパンで退社した場合、同じように初期費用を回収する行為は、まるで詐欺まがいにお金をぶんどっているようにも見えます。
いくらカラの期間に家賃を捻出しているとはいえ、悪どい感じは否めません。
その証拠にブラック企業の幹部の中には、
早期で辞めても、初期費用を回収できるから、寮にぶち込んどけば問題ない。寮完備は儲かる。
こんな事を豪語する人もいるぐらい。
かかった初期費用が給料から勝手に引かれていることも
これは労務関係の法律に疎い中小企業にありがちです。
物件の手配にかかった初期費用が勝手に給料から天引きされているのです。
初期費用とは「敷金」「礼金」「仲介手数料」です。
仮に「敷金2ヶ月」「礼金2ヶ月 」「仲介手数料1ヶ月」で、家賃が6万円だとすると、30万円がかかった計算ですね。
こともあろうか何の通知も無しに、給料から謎の天引き金3万円が引かれているのです。これは実際に起こった話です。
初期費用30万円と比べると安いとはいえ、そもそも給料から勝手に天引していいものは、
- 所得税
- 住民税
- 雇用保険料
- 社会保険料
です。
これ以外の項目を天引きするには、労使協定でハッキリと定めておかなければいけないと法律で決められています。
よく「旅行積立金」や「互助会」などの名目で天引きされるケースもありますが、これらは普通、全て書面で定められているのです。
何の合意もなしに勝手に給料から差っ引く・・・。
初期費用を捻出してくれないなら、はじめからこんな会社に就職していませんよね。
そもそも皆んなこんなにブラックだと思って入社していない
多くの寮完備のブラック企業に入社してしまった人は、そもそもこんなにもブラックな環境で働かされるとは想像もしていない。
むしろ寮完備の会社に就職が決まってホットひと安心!
こういった感情を抱く人の方が多い。
寮完備が全うな理由で会社の利益と教育の強化、雇われる側の福利厚生がマッチングしているなら、こんなにも素晴らしい制度は他にない。
しかし従業員を買い叩くため、長時間労働や無理な休日出勤をさせるために入寮させ、辞めたら違約金をとり、物件を使いまわす。
これはある意味でかなり卑劣な行為といい切れます。
射幸心(「幸運を得たい」と願う感情)を煽るだけ煽っておいて、実態は人生をメチャメチャにする行為とも捉えられますね。
まるで牢獄のように、入ったら逃げ場のない過重労働を強いるために、あたかもコッチは善意でやってあげているという上辺に落とし穴があるのです。
最後に|ブラック企業から抜け出そう
もちろん寮完備の会社が全てブラックなわけではありません。
会社側の都合と、社員側の都合をうまくかみ合わせ、お互いに利益がもたらされるように健全に運用している会社もあります。
しかし寮完備で誇大広告を打ち出している会社には要注意です。
私の書いた記事ではブラック企業の見分け方も紹介しているので、参考にしていただけたらと思います。
» ブラック企業を見分けるポイントと見分け方
もしくは、この記事を読んで、
今の会社のことじゃん
となっているのであれば、転職を検討したほうがいいかもしれません。
とはいえ、今すぐに会社を辞めるのではなく、まずはエージェントに相談して、できるだけ次の会社が見つかってから今の会社を辞めるようにしましょう。
そうしないと、焦って転職してしまうことになり、結局またブラック企業に就職するハメになってしまいます。
また、注意しないといけないのが、転職エージェントの中にも、ブラック企業でもいいから、とにかく紹介数を伸ばして利益を伸ばそうとしている悪質なエージェント会社もあります。
それを避けるためにもおすすめの転職エージェントを選びましたので、紹介します。
おすすめの転職エージェント
リクルートエージェント
リクルートエージェントの特徴は、なんと言っても求人数の多さ。日本一の求人数を誇ります。一般の求人サイトには掲載していない非公開求人も10万件以上あり。
様々な職種、年齢、勤務地に対応しており、転職した者の2/3は一度は登録しています。
豊富な転職支援実績データに基づく選考サポートが手厚く、履歴書作成から面接準備まで転職のプロがサポートしてくれるので、登録しておいて損はありません。
カウンセラーの対応も迅速なので、働きながら転職活動をするのにうってつけのエージェントです。
LHH転職エージェント
LHH転職エージェントで年収アップしている人多数!キャリアアップを目指す人向けの転職エージェントで、外資系、法務・経理などの管理部門、第二新卒などの転職に特に強いのが特徴です。
世界でもTOP3位に入る人材会社のアデコグループが運営しており、細かなカウンセリングによる高いマッチング精度が売り。
普通のエージェントは転職者と企業側の担当が分かれているところ、LHH転職エージェントは1人で転職者と企業側を担当しています。そのため、企業カルチャーとの相性まで見極めることが可能です。
エージェントは各専門職種に精通しているため、他のエージェントにはできなかった専門的なことまで相談できます。
doda
dodaは、転職者満足度No.1、人材紹介会社に関するポジティブな口コミ数でNo.1を獲得しており、職種ごとの多種多様な求人を保有しています。
求人数もリクルートエージェントに次いで多く、非公開求人を含めて約10万件。大手企業から中小やベンチャー企業まで幅広い求人を持っています。
履歴書、職務経歴書だけでは伝わらない人柄や志向を企業に伝え、選考通過を後押ししてくれるなど、転職成功のサポートも万全です。
転職活動に失敗したくない人や、次こそは長く働ける職場を探したいと考えている人などにおすすめです。
アデコ転職エージェント
アデコ転職エージェントは、日本で37年以上の人材事業を運営している実績があります。
人気の事務職や営業の求人に特に強く、一般事務や経理事務、総務事務や英語を活かす事務系の求人が多めです。他にも、IT系や広報・マーケティングの求人などもあります。
他の大手の転職エージェントと比較すると求人数は少なめですが、やはり求人数が少ない事務職に強いのが魅力的です。事務未経験でもOKな求人もあります。
ただし、特に事務職は人気なので、20代~30代前半ぐらいまででないと求人が見つからない可能性もあります。
何はともあれ面談してみないと分からないので、まずは相談してみましょう。平日の遅めの時間帯も面談可能です。
マイナビAGENT
マイナビAGENTは、20代からの信頼がNo.1の転職エージェントです。
熱意のある担当者によるサポートも評価が高く、中小企業や第二新卒のための独占案件の多さに定評があります。
転職サポートについては、職務経歴書のブラッシュアップや模擬⾯接はもちろん、利⽤回数や期間に制限なく転職相談をすることが可能です。
また、関東圏・関西・東海地方の求人が豊富で、20~30代向けのベンチャーから大手まで優良企業の求人を保有しています。