SESとして働く中で「本当にこのまま働き続けていいのだろうか?」と悩みを抱えることは多いはず。
エンジニアとして市場価値を上げるには、自分の理想像を決めて行動を変化させることが重要です。残業を60時間続けるだけでは年収アップは見込めません。
エンジニアは年齢だけ重ねても、年収が上がることはありません
そこでこの記事では、エンジニア経験2年で20人ものチームリーダーにもなった僕が、「市場価値を高める若手エンジニアの戦略」を解説します。
20代エンジニアの適正な市場価値は「3年目で400万円」
「給料が低い…」と嘆く若手エンジニアは、市場価値について詳しく知らない人も多いです。
では、一般的なエンジニアの年収はどれくらいが妥当か?と聞かれると「経験3年で400万円程度」が妥当です。
「エンジニア経験3年なら年収400万円が妥当」の根拠
以前、転職エージェントに直接聞いたところ、東京で経験3年なら400~500万円が妥当とのことです。
↓以下の記事でインタビューした内容について詳しく紹介しています。
» 【転職エージェントに聞く】20代Webエンジニアの平均年収と転職事情
また、dodaが調査したWebエンジニアの平均年収を見ても430万円という結果になっています。
年収が400万円以下だったとしても地域や職種によっては普通です
ただ、これを読んでも「自分はもっと市場価値を高めたい」という人も多いはず。次はエンジニアの一般的なキャリアと年収相場について解説します。
市場価値が高いエンジニアのキャリア例
様々な業界のIT化に伴って、エンジニアのキャリアは多様化しています。およそキャリアを分類するとざっくり以下の4つです。
- エンジニアスキルを突き詰める
- プロジェクトを管理する立場になる
- IT関係のコンサルを行う
- ITスキルを生かした事業を行う
あくまで分類をしただけで「どれが楽をして稼げる」というわけではないことに注意してください。
エンジニアスキルを突き詰める
まずは、エンジニアスキルを極めるキャリアを積み重ねることです。具体的には以下のようなキャリアがあります。
- テックリード
- 企業のITアドバイザー
- イベント講演ゲスト
エンジニアスキルを突き詰めるキャリアを歩むのであれば、三度の飯よりプログラミングが好きというレベルでなければ成立しません。「休日に勉強しないなんてありえない」と思うタイプの人です。
これらの人は、ただプログラムを極めればいいわけではなく、
- 柔軟性、拡張性、コストを考慮したシステム設計
- 言語、OS、ハードウェアの特性を理解した上での技術選定
- 国内外を問わない技術活用事例
などの幅広い知識を必要とします。この領域を目指すなら、今すぐブラウザを閉じてエディタを開くべきです。
プロジェクトを管理する立場になる
続いて、こちらも非常に需要が大きい領域です。具体的なキャリアとしては以下になります。
- CTO
- プロジェクトマネージャー
- プロダクトリーダー
プロジェクトマネージャーは、ITスキル以外にも以下のようなスキルを必要とします。
- 事業のROIを仮説検証するスキル
- 財務会計の知識
- マネジメント能力
スキルのあるマネージャーは、今市場に最も足りていない職種の1つです。マネージャーが原因でプロジェクトが炎上した経験があると答えた人は4割にも上ります。
「プロジェクトマネジャーが原因でプロジェクトが迷走したり炎上したりした経験がありますか」と聞くと、全体の38.0%が「ある」と回答した。
引用元:“スキル不足PM・名ばかりPM”問題、サポートや教育が足りない企業側に原因?【ネオマーケティング調べ】
プロジェクトマネージャーは明確なスキルがわかりにくいため、目指し方がわからない人も多いです。
逆にいえば、コツコツと事業成長のために貢献を重ねていくことで十分に目指せる領域といえそうです。
IT関係のコンサルを行う
続いて、いわゆる「ITコンサル」と呼ばれるキャリアを歩む選択肢もあります。
ITコンサルは、「エンジニアスキルを突き詰める」「プロジェクトマネージャーを目指す」などと違って、ITコンサル企業に転職するだけで年収アップが狙えます。
もちろん、スキルによって市場価値は大きく変わります
ITコンサルでは、基本的にプログラムを書くのがメイン業務ではなく、顧客の課題をITで解決することが主な仕事内容です。
そのため、「ITが好き」という人よりも「ITを通して誰かの役に立つのが好き」という人に向いている選択肢です。
ITスキルを生かした事業を行う
最後に、自身のITスキルを生かした事業を行う方法です。以下に一例を挙げてみます。
- システム開発を請け負う
- IT系のブログを執筆する
- 個人開発で収益を上げる
この分野は、会社に勤めながら副業で自身の収入を増やせるため最もおすすめできる方法です。GitHubに草が生えていれば、転職時のアピールにも繋がります。
一方で、何をしようと考えても一定のITスキル+αを必要とする分野でもあります。
最近、zenn.devという個人開発サービスが買収されましたが、
- 金銭が関係するブログ投稿システム
- ユーザーに親しまれるデザイン力
- 認知度を上げるマーケティング力
など、多様なスキルが必要です。ただし、ホームページの制作代行といったところで収入アップを狙うなら、比較的ハードルも低く始められるでしょう。
客先常駐(SES)エンジニアとして年収を100万円上げる戦略
客先常駐エンジニアは、一定の経験年数を超えた時点から給与が上がらなくなります。
ここを理解しておかないと、40代・50代で手遅れな人も多いです
「経験を積んでスキルアップすれば給与は上がる」のは間違いではありませんが、SESエンジニアの上限年収は約500万円です。
SESはビジネスモデルの関係上、売上の上限が決まる
SESのビジネスモデルは「1人1ヶ月あたり60万円」というように、1人の単価によって売上が決まっています。
このビジネスモデルにおいて、売上を上げるためには
- 1人あたりの単価を上げる
- 1人あたりの労働時間を長くする
の2パターンしか方法がありません。単価はせいぜい100万円が上限ですし労働時間にも上限があるため、実質的に給与の上限が決まります。
現在の年収が400万円だったとすると、1年で10万円以上給与が上がるといったケースはほとんどありえないのです。
年収を増やすなら「立ち位置を買える」か「収入源を増やす」
もし、短期間で年収を上げたいなら、
- 立ち位置を変える:部署異動、昇進、転職、フリーランス
- 収入源を増やす:副業
のいずれかを考える必要があります。過去に全て経験しましたが、即効性×リスク×リターンは以下になります。
即効性 | リスク | リターン | |
---|---|---|---|
部署異動 | ◎ | △ | △ |
昇進 | × | ◯ | ◯ |
転職 | ◯ | △ | ◎ |
フリーランス | ◯ | △ | ◎ |
副業 | △ | ◎ | ? |
SES以外の事業を持っている会社なら、部署移動の検討をおすすめします。
会社の給与体系上、変わらないように見えますが仕事が見える分評価されやすくなります
会社にSES以外の事業がないケースや、そもそも将来性がないSES企業であれば、転職を考えた方がいいかもしれません。
今よりもさらに年収をアップさせる方法については、以下の記事でも解説しています。
» 【給料安い…】20代SEが今より年収100万円アップをねらう方法
経験が2年以上あるならフリーランスエンジニアの選択肢もある
フリーランスエンジニアは会社員のような保証がないですが、若手でも年収をグッと上げることができます。
経験年数と収入の関係は大体以下の通り。
- 経験2~3年:60万円/月
- 経験3~4年:65万円/月
- 経験5年~:65~80万円/月
経験が2年で、年収700万円を超える可能性があるのはフリーランスか大企業のAIエンジニアくらいです。
フリーランスのメリット・デメリットに関しては、別の記事で解説しているので合わせてご覧ください。
» フリーランスエンジニアの後悔は当たり前!正しくメリット・デメリットを知ろう
【これはヤバい…】将来性のないSES企業の特徴
ITの知識に疎い経営者が多いと、エンジニア軽視の環境が作られやすくなります。そうした環境からは、将来のためにも一刻も早く抜け出すべきです。
今すぐ離脱するべきSES企業の特徴
規模によりますが、以下のような状況が続いている企業は、将来性が高いとはいえません。
- 人の出入りが月に5人以上ある
- 理由なく1人で案件にアサインされる
- 経験年数の水増しをしている
- 年収が300万円以下
- 残業が毎月45時間超
どれか1つでも当てはまっているだけでヤバいです
これらの企業に所属している人は、とにかく状況がヤバいので一刻も早く転職活動を始めてください。まずはレバテックキャリアに相談してみることをおすすめします。
レバテックキャリアは、ITエンジニアやデザイナーに特化した転職エージェントです。ITエンジニアが利用したい転職エージェントNo.1に選ばれています。
15年以上の運営実績があるためエージェントが技術に精通しており、あなたが望む条件やキャリアプランを踏まえた上での提案をしてくれます。
大手IT企業からWeb系企業、スタートアップまでを幅広く網羅しており、保有求人数は7,000件を超えています。
そのうち5,000件以上が600万円以上のハイクラス求人で、キャリアアップしたい方や年収アップしたい方におすすめです。
市場価値が上がるならSES企業で経験を積むのもOK
現在、働いている企業に「もう一度就活しても、今の企業を選ぶだろうな」と思える企業であれば、転職しない選択肢もあります。
- マネージャー職を目指しており、スキルアップの案件に携われる
- 自分が触りたい技術や言語の案件に携われる
こうした経験が積めるなら、無理に転職をしなくても数年後の転職で年収アップも十分可能です。
数ヶ月で給与を上げることは不可能ですが、数年後に収入を増やすことができるか?は一度考えておきたいところです。
無理な転職で望まない仕事をする…ということが最悪です
将来的な市場価値を上げるために「今できること」
ほとんどの人は「給料が安い」「SESは将来性がない」と思いながらも、行動できないです。
その理由として、何から始めるべきか?が明確にわからないためです。そんな人は、以下のステップで自分が取るべき行動を考えることをおすすめします。
- STEP 1:理想の職場を考える
- STEP 2:客観的な市場価値を知る
- STEP 3:他の人の転職体験談を知る
STEP 1:理想の職場を考える
理想の状態が曖昧なままだと、部署異動や転職をしても必ず後悔します。最低限、以下の項目は言語化しておきたいです。
- 今の環境の何が不満なのか
- 理想の職場の条件を3つ(給料が◯万円以上、残業20時間以内など)
- 自分の長所(好きなこと)は何か
- 理想の職場で自分はどう活躍できるか
きれば、紙やパソコンのメモ帳に書き出すことをおすすめします。
この中であれば「自分の長所」「理想の職場でどう活躍できるか」は、考えるのが難しいと思う人もいるはず。
そんな方は、ストレングスファインダーがおすすめです。
STEP 2: 客観的な市場価値を知る
冒頭に20代エンジニアの平均年収を紹介しましたが、市場価値は1人1人違います。
自分が今転職をしたら、どれくらいの年収が妥当なのか?をできるだけ正確に把握してください。
”年収”の部分は、STEP 1で出した優先度の高い項目に置き換えて読み進めてください
自分の市場価値を知るためには、転職エージェントに聞いてみるのが最も早いです。
実際に話すと「ネットで調べた内容とやっぱり違うな。。」となります
もし、転職エージェントに聞くのであれば、実績の高いエージェントであれば大きく間違いはないので、レバテックキャリアに聞いてみることをおすすめします。
STEP 3:他の人の転職体験談を知る
転職をする際は、相当悪い会社でない限り踏み切れない人が多いです。
- 「こんな理由で辞めるのは甘えなのでは?」
- 「辞めたら今の会社に迷惑がかかる…」
精神論になりますが、そんなときに他の人の体験談を読むと「自分の今の状況は転職してもいいだろうか?」の判断がしやすくなります。
できれば成功談と失敗談の両方を見ておきたいです
実際に転職しないとしても「このレベルに到達したらまた転職を考えよう」と思えるので、読んで損はないかと思います。
まとめ|SESエンジニアの収入は天井があるので戦略を考えておこう
今回は、客先常駐(SES)エンジニアの市場価値と将来性について解説しました。短期間で年収を上げたいなら、部署異動か転職を考えるといいです。
一般的な20代エンジニアの給与は経験3年で約400万円です。ただし、エンジニアである以上、「一定のスキルがないと何も選べない」というのは、今の環境にでも必ず意識するべきことです。経験を積めるのであれば、今の企業で残る判断も正解です。
それでも「SESから脱出することも検討するべき?」と考える人は、具体的に何をするべきかは迷われるかと思います。
以下の記事で「本当に会社を辞めるべきか?」を考えるポイントを見ておきたいところです。