エンジニアとして経験を積んでくると、今の会社を辞めるか悩むこともあります。
納得度の高い転職をするには、求める優先順位を明確にすることが必須です。ある職場が理想的かは人によって捉え方が違います。
自分には理想でも別の人にとっては最悪…というパターンもあります
この記事では、会社を辞めるか悩んだときの転職の考え方について解説します。
読み終えたときには、転職をするべきの判断軸が作れるようになります。
後悔しない転職を実現する「自分を客観視する」方法
転職で失敗する最大の理由は「なんとなく今の職場が嫌」で辞めてしまうことです。
なんとなくで転職すると、転職の過程で企業選びの軸がぶれます。
- 自己分析
- スキルの棚卸し
- 仮キャリアプランの作成
この3つは事前に必ずやっておきましょう。
自己分析
自己分析をすることで、エンジニアスキル以外のアピールポイントを発見できます。
エンジニアは専門的な職種なので、スキルに目が行きがちです。
しかし、転職においては「若さ」「性格」「指向性」なども強みにできます。「自分に強みなんて…」と思う人でも必ずあります。
強みを言語化しておくと面接でのアピールにも使えます
具体的な方法としては、ストレングスファインダーを利用するのがおすすめです。1冊2000円ほどなので購入をおすすめします。
スキルの棚卸し
スキルの棚卸しは、案件の中で「どんな役割を果たしたか?」もまとめましょう。
一例を挙げると、
- 顧客とじっくり話し合った提案が採用された
- リーダーが忙しかったため、自身がリーダーの代替となる役割を果たした
- 業務外勉強会のLTにも登壇した
など、「2021年2月〜4月:案件A PHP/Laravel」といった、技術スタックだけを載せた棚卸しはあまり意味がありません。
表にまとめておくと、一覧で見れていいですね。
案件 | 期間 | 技術 | 役割 | 備考 |
---|---|---|---|---|
案件A | 2ヶ月 | PHP Laravel | サブリーダー | リーダーの代替として 活動した |
案件B | 3ヶ月 | JavaScript jQuery | 開発 | 前倒しで開発を行った |
案件C | 1ヶ月 | PHP | 開発 | スポット参加でも キャッチアップして 手早く開発した |
役割や工夫点を書いておくと自己分析の強みと掛け合わせられます
キャリアプランを描く
自分の強みを把握しておくと、キャリアプランが描きやすくなります。
市場価値を高めたい(給料を上げたい)なら、自分の強みがある方向でキャリアプランを描くといいでしょう。
コミュニケーションが得意ならスペシャリストよりもPMなどを目指すといった具合です
具体的に、将来的にどうなっていたいか?を明確にしすぎる必要はありません。
ただし「なぜ、自分が今そうなりたいと考えているか?」が説明できると、面接でも話しやすくなります。
本当に転職するべきか?を見極める3つの項目
転職するか迷っているときに、上司に相談するのはおすすめしません。
形はどうであれ、退職の意向を伝えると必ず止められるので、転職すべきか冷静に判断できなくなります。
転職は生活に大きく関わるので、じっくり考えることをおすすめします
転職自体を目的にすると、確実に失敗します。転職するべきか?は以下の3つを規準に考えましょう。
- そもそもヤバい会社でないか
- 今の会社では実現できないキャリアか
- 転職することで自分の要望がかなえられるか
そもそもヤバい会社でないか
次の条件に当てはまっている場合は、思考停止して転職活動を始めることをおすすめします。
- 人の出入りが月に5人以上ある
- 理由なく1人で案件にアサインされる
- 経験年数の水増しをしている
- 年収が300万円以下
- 残業が毎月45時間超
どれか1つ当てはまっているだけでヤバいです
もし、これらの企業に所属しているのであれば、転職することでほぼ確実に今よりもいい環境に出会えます。
何をしたらいいのか?と悩む人は、まずは転職エージェントに登録だけしておきましょう。
今の会社では実現できないキャリアか
転職を考えるなら、労働条件の優先順位を明確にしておきたいです。
- 給与
- 残業時間
- 休み
- スキル
など、様々ですが、本当に今の企業で実現できないか?は考えたいです。
ただし、「相談しても聞き入れられることはない」と考えるなら、転職も選択肢に入れるべきでしょう。
今の会社で実現できる要望なら残ることをおすすめします
転職することで自分の要望がかなえられるか
年収1000万円を稼ぎたい人は多いですが、全員がそれを実現することはできません。自分の要望が100%実現できる転職はほとんど不可能です。
その中で、「譲れるライン」「譲れないライン」を明確にする必要があります。
譲れるライン
- 残業は平均で月40時間までならOK
譲れないライン
- 年収は450万円以上欲しい
- 休みは土日祝確実に取りたい
転職活動をしていると時間に追われますが、譲れないラインはぶらさないように死守してください。
以下でSESを脱出するべきか?のより詳細な基準を説明しているので、こちらもぜひご覧ください。
» SESから脱出するべき?転職の判断基準10項目と対策を解説
補足:職場に「給与」の不満があるならフリーランスもあり
もし、今の職場に不満がある理由が年収であれば、フリーランスになる選択肢もあります。地域によりますが、経験年数と収入の目安は大体以下の通り。
フリーランスの収入
- 経験1年:55万円
- 経験2~3年:60万円
- 経験4~5年:65万円
- 経験5年~:65~80万円
過去に、若手フリーランスエージェントの支援を行っている企業へインタビューも行ったので合わせてご覧ください。
» テックビズフリーランス(NKC ASIA)の評判は?忖度なく他のエージェントと比べてみた。
円満退職→スムーズな転職に繋げるために知っておくべきこと
初めて転職活動を行う人は、言葉にできない不安に襲われるはず。しかし、転職のお作法を知っておけば難しいことはありません。
- 転職にかかる期間は約3ヶ月
- 退職の意向は2ヶ月前までに伝える
転職にかかる期間は約3ヶ月
転職活動は時間的にも精神的にも大変ですが、今の仕事を辞めずに転職活動を行うことをおすすめします。
転職活動は、どれだけ短くても1ヶ月、転職先を決めるまでには約3ヶ月ほどの期間がかかります。
エンジニアの転職の流れ
- スキル棚卸し・自己分析:1週間
- 転職サイトへの登録・応募:2~4週間
- 面接〜内定〜内定承諾:1~2ヶ月
1年ほど働かなくてもいい貯金があるなら別ですが、3ヶ月無給だと生活が苦しい人もいるはず。
IT業界は、リモート面接や就業後面接など柔軟に対応してくれる企業が多いです。後悔ない転職をするためにも、働きながら転職活動をしましょう。
転職活動が上手く行かない場合今の企業に戻る選択もできます
退職の意向は2ヶ月前までに伝える
SESはおよそ3ヶ月ごとに契約更新があります。契約更新時に退職することが理想的なタイミングです。
ただし、(まっとうな企業であれば)今いる従業員で、営業戦略などを考えます。したがって、企業側の本音としては退職を伝えられるのは早ければ早いほどいいです。
遅くても退職の1ヶ月前には連絡した方がいいです
ただし一般的に、転職先の企業が新しい人を待ってくれる期間は、2~3ヶ月前後が1つの目安になります。
次の企業が待ってくれる期間を考えると、大体2ヶ月前くらいが理想的なスケジュールと言えるのです。
補足:会社を辞めることは「裏切り」で「悪いこと」なのか?
退職を考えるときに「自分がいなくなったら会社に迷惑をかける…」と気にする人は多いです。
しかし、正当な理由があれば、転職は労働者に与えられた権利です。
転職が裏切り行為だと思われるのは「会社に育ててもらったから?」
転職が裏切り行為だという考え方は、終身雇用を前提とした50代60代には未だに強く根付いています。
しかし、国を変えてアメリカを見るとIT企業の平均勤続年数はわずか4年、スタートアップだと2年程度というデータがあります。
日本 | アメリカ | |
---|---|---|
平均勤続年数 | 11.9年 | 4.2年 |
ここは日本だ!という意見はわかりますが、大企業でも早期退職の流れがあることを考えると、自力で必要なスキルを身につけることは必須です。
今の会社でそれが実現できないのであれば、会社を変えることはむしろ良い選択とすら言えます。
退職のタイミングは今のプロジェクトが終わってから?
転職はタイミングも非常に重要です。どの企業にも「人を受け入れたいタイミング」が存在します。
しかし、人気企業ほどその期間は短く、先延ばしにすることは優良企業に挑戦する機会すら逃すことに繋がります。
終わりが見えているなら良いですが、いつまで続くかわからないプロジェクトでなんとか仕事を続ける人も多いでしょう。
しかし、プロジェクトの終わりまで続けていれば、先程もお話したように機会損失になります。
以下で無責任なヤツにならないポイントをまとめているので、こちらを読んで退職も検討していきましょう。
» プロジェクトの途中退職は問題アリ?「無責任なヤツ」にならない4つのポイント
退職を言い出しにくいときの対処法
頭でわかっていても退職を伝えるのは、先送りになりがちです。
- 「今日忙しかったし明日でいいか」
- 「言い出すタイミングが見つからない…」
退職を伝えるのは、非常に勇気がいります。したがって、まずはチャットやメールなどのツールを使ってハードルを下げることをおすすめします。
お疲れ様です。〇〇です。
最近、仕事上で悩んでいることがあり少し相談に乗っていただけないでしょうか?
お時間可能であれば、今週中を目安にお話できればと思います。よろしくお願いします。
連絡の段階では「少し悩みがある」くらいで切り出すとハードルが下げられます
まとめ|理想の職場は自己分析で見えてくる
今回は、理想の職場の考え方を中心に解説しました。まずは、自分が求める条件を具体的にすることから始めましょう。
また、求める条件に対して転職で実現できるか、もっと言えば、転職しなくても実現できるかは考えてみましょう。
転職せずに実現できるなら、時間を抑えられ、心理的にも楽です。
上司は部下からの意見を欲しいと思っているので、実現できる可能性があるなら相談してみましょう。
ただし、転職でより良い環境に行けるのであれば、そのチャンスは掴むべきです。
そのときに、「転職したら裏切り者と思われる」といったような心配をする必要はありません。
もし、やっぱり転職しようと考えるなら、より具体的に転職手順のイメージを持ちたいです。以下の記事で、より転職のイメージを深めておきましょう。