何かと炎上していたテックキャンプ。
今では大きな炎上も起きなくなりましたが、過去にはテックキャンプ公式のYouTubeチャンネルで「【公式が答えます】テックキャンプ7つの闇(前編)」「【公式が答えます】テックキャンプ7つの闇(後編)」という動画が公開され、火に油を注いだのは忘れられません。
この動画を見た人は、
いやいや、オレが知りたいのはそういうことじゃない
と思った人も少なくないはず。
動画の中では次の7つについて解説されています。
- 簡単にエンジニア転職できると騙している?
- 転職成功率99%は嘘の数値?
- ポートフォリオが同じだから転職できない?
- メンターは素人集団?
- 学べる技術が時代遅れ?
- 行きたくない会社に無理に転職させられる?
- 卒業生はエンジニアに向いてない人ばかり?
しかし、動画内で語られていたことは表面的なことばかり。
なので、徹底的にテックキャンプのことを調査して、本当の闇についてまとめました!
テックキャンプの真・7つの闇
テックキャンの闇の中でも闇が深そうなものを抽出し、テックキャンプの真・7つの闇としてまとめました。
景品表示法の違反容疑
テックキャンプの広告を見たことがある人は、一度は見たことがあるであろう以下の内容。
これと合わせて、後ほど紹介する「転職成功率99%」が景品表示法に違反している可能性があります。
景品表示法の第5条第1号より、
事業者が、自己の供給する商品・サービスの取引において、その品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、
引用元:優良誤認とは|消費者庁
(1)実際のものよりも著しく優良であると示すもの
(2)事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの
であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています。
とあります。
「年収150万円アップ」と「転職成功率99%」が表示されていると、普通の人は、
99%の確率で年収が150万円アップするのか!
と思うかもしれませんが、そうじゃないんですね。
この内容が景品表示法に違反している可能性があります。ただ、違反しているかどうかの判断は難しく、テックキャンプの表記内容はグレーゾーンいったところ。
ただ、炎上したときにこれはマズいと思ったのか、「年収150万円アップ」「転職成功率99%」と打ち出したテックキャンプのYouTube CMが非公開(正確には限定公開)になったようです。
限定公開になっているのは、以下の動画などです。がっつり『平均年収 約150万円UP』って言っちゃってますね…。
そもそもエンジニアの年収は二極化している
エンジニアの平均年収が高いのは事実です。
エンジニアの平均年収は542万円となります。
正社員の平均年収は、DODAの平均年収ランキング2020では「409万円」と算出しています。つまり、130万円以上も年収が高いと言えます。
単純に数字だけ見ると、やはりエンジニアは専門職であり年収も高い傾向ですね。
引用元:【2022年最新版】エンジニアの平均年収はいくら?全体平均と比べて○○円も高い!|コエテコキャンパス
しかし、未経験でエンジニアになると、最初の年収はだいたい200~300万円ほどです。150万円アップどころか、今の年収よりもダウンしてしまう可能性が高いのです。
また、エンジニアの年収は二極化しています。年収が高い人と低い人の両方が多いため、平均すると他の職種よりも平均年収が高くなっているというのが実情です。
30代前半のSE職 現在年収
300万円未満:38.5%
引用元:【調査&検証】30代SEの年収が二極化。 転職で「年収600万円以上」を叶えるためには?|エンジニアtype
300~399万円:2.5%
400~499万円:2.5%
500~599万円:20.0%
600万円以上:34.5%
エンジニアの中にも、エンジニアに向いている人・向いてない人、楽しんでエンジニアをやっている人・生活のためにエンジニアをやっている人など様々な人がいます。
年収が高くなるのは、もちろんエンジニアに向いていて、楽しんでエンジニアをやっている人。エンジニアは常に勉強しないといけないですが、そういう人は勉強するのが苦痛になりません。むしろ、勉強するのが当たり前になっています。
また、一言にエンジニアといっても職種は様々。コードを書かないエンジニアもいます。
プロジェクトマネージャーはコードを書かないことも多いですが、エンジニアの職種の中では平均年収が高いです。
しかし、テックキャンプで学べる内容はプログラマー(実際にコードを書く人)としての基礎のみ。当然、テックキャンプを卒業しただけでは稼げるエンジニアにはなれません。
「転職成功率99%」のカラクリ
この「転職成功率」は、テックキャンプのすべての受講生の99%がエンジニア転職に成功しているという意味ではありません。
「転職成功率」のデータに入ってくるのは以下の3つの条件を満たした人のみ。
- 所定の学習をすべて終えた方
- サービスに沿って学習と転職活動を行った方
- 転職を希望されている方
さらに、『1. 所定の学習をすべて終えた方』とは、以下の5つの条件を満たした人のみ。
- 期日内に学習を完了している
- 期日内に書類を提出している
- 就活セミナーを無断欠席しない
- 学習完了後すぐに転職活動を開始する
- テックキャンプから紹介された企業への応募辞退・面接の無断欠席をしない
実際はどのくらいの人数が卒業できているのかと言うと、72期の受講生の方いわく、
- 受講開始時34人
- 2週間後無条件返金を受けたのは1~2人
- 卒業時延長料金を払わずに卒業できたのは8人
とのこと。34人中8人ということは、約23.5%ですね。
つまり、2週間の無条件返金も受けず、延長料金を支払った24人(34-2-8人)の人は、返金保証も受けられず、「転職成功率」のデータにも集計されていません。
» (関連記事)テックキャンプ転職コースの返金保証の条件が厳しすぎる
さらに、期間内に卒業できた8人についても、エンジニアに転職できたのかは分かりませんし、エンジニアになれたとしても、希望していた企業に就職できたのかも分かりません。
他にも、6ヶ月コースの方が3ヶ月目に挫折した動画が公開されていましたが、やはり無事に卒業できた人は約25%ぐらいだそうです。
ここがテックキャンプの闇の中でも一番深いところだと思います。
テックキャンプを途中で挫折した人の末路が悲惨
テックキャンプは途中で挫折する人もいますが、その場合返金はされません。
また、会社を辞めてテックキャンプに通っている人の場合、転職活動をして新しい会社に就職するまではお金が入ってきません。
転職活動にはだいたい3ヶ月~半年ぐらいはかかるものですが、テックキャンプも辞めて会社勤めもしていないとなると、焦って次の会社を選んでしまう可能性が高くなります。最悪、ブラック企業に就職なんてことも…。
また、テックキャンプの受講料は高額なため、人によっては借金をしているでしょう。テックキャンプを辞退したときには、もちろん受講料に加えて借金の金利も含めて返済しなければなりません。
しかも、テックキャンプが用意している分割手数料が高すぎるのです。
テックキャンプの分割手数料が高すぎ
テックキャンプの分割手数料は24回分割の場合で20%!これは、法律で定められている上限いっぱいの手数料率です。
なお、比較のために、消費者金融や銀行などでお金を借りるときの金利を載せておきます。
このデータを見ると、金利が高いと言われている消費者金融よりも、テックキャンプの分割手数料の方が高いことが分かります。
転職のハードル高すぎ
テックキャンプの卒業生で実際にエンジニアになれた人の話だと、だいたい100社応募して1社内定が出るかどうか、というレベルだそう。
Wantedlyという求人サイトから応募して、返信があるのがだいたい1~2割で、面接までいくのはそのうちの1~2割。未経験からエンジニアになるのはそもそも狭き門なんですね。
(引用元:ついに登場!テックキャンプ卒業生Youtuberほーたろーくんに転職活動のリアルを聞いてみました!|YouTube(プログラミングスクールチャンネル))
また、テックキャンプ卒業生というだけで、書類で落とされることもよくあるそうです。
私の知ってる範囲内で5社だけでも、「テックキャンプ卒の人は採用しない。書類で落とす」
— アラスケ (@ar30suke) August 25, 2020
と言ってるので、エンジニア転職を目指す方はプログラミングスクールに通ってたことをどう表現するかよく考えた方が良いと思います。
ホンマこれ。ウチの会社でもスクール卒をレジュメに書いてる人はその時点で弾いている。フリマアプリクローンとか書いてる時点で即NG。 https://t.co/5UAMpFljOF
— ソウ (@cpm530000) August 25, 2020
これでも「誰でもエンジニアになれる」と言っていいのでしょうか?
チーム開発がなくなった・オリジナルアプリ開発で質問NG
以前はテックキャンプのカリキュラムに組み込まれていたチーム開発が80期(2020年6月20日開講)をもって終了しました。
実際の開発現場ではチームで開発することがほとんどですし、独学だとチーム開発はできないので、チーム開発に魅力を感じていた人もいると思いますが、なぜかなくなりました。
また、個人でオリジナルアプリを開発するときにはメンターへの質問はできません。
質問ができない理由は、
個人アプリは転職活動で企業に提出するもので、自分の実力を証明するために作成するもの。メンターが関わってしまったら実力証明にならないから。
引用元:テックキャンプで作った個人アプリを公開【メンターに質問できない!】|masablog
とのこと。
エンジニア未経験者が転職するためには、このオリジナルアプリ(ポートフォリオ)が必須なのですが、そのサポートをしてくれないのであれば、実力証明うんぬんの前に転職できない確率が上がってしまいます。
しかも、テックキャンプの学習完了後はすぐに転職活動しないと返金保証の対象から外れてしまうため、テックキャンプ卒業後にオリジナルアプリを作り込んでいる時間もありません。
圧力をかけてテックキャンプの批判を口止め疑惑
最後は、口止め疑惑問題について。
転職就活のアルファードというYouTubeチャンネルでテックキャンプの批判動画が出されていたのですが、今ではすべて非公開となっています。
アルファードさんは会社員をされていて、会社の上司からYouTubeの動画を消せと言われたようです。テックキャンプの運営会社(株式会社div)から圧力がかかったのではないかと思われるような内容の動画も出されていました(現在は見られません)。
上記の動画について、他のYouTuberがコメントしてます。
この記事が消えたときは、お察しください…
なぜテックキャンプの闇は深いのか?
ここまでテックキャンプの真の闇を紹介してきました。情報を集める前はここまで闇が深いとは思ってませんでしたが、調べるとどんどん出てきます。まるで底なしの沼。
これは推測ですが、ここまで闇が深くなったのは、以下のような経緯があったのではないかと思います。
- プログラミングスクールの事業開始
- 東大生など優秀な人が受講(東大生のインターンがいた模様)
- 優秀な卒業生をメンターとして採用し、サービスの質も高かった
- 受講生一人あたりの売上126万円(受講料+人材紹介料)
→これ、広告費かけて伸ばしたら儲かるんじゃね? - 投資家や銀行から資金調達
- YouTube広告・アフィリエイト広告などWeb広告を強化
- 受講生の数が多くなる
→エンジニア未経験者をメンターとして採用して質が低下 - 新型コロナウイルスの流行により未経験エンジニアの採用環境が悪化
- 2021年1月ごろ、サービスの質の低さやエンジニア採用担当からの評価の低さを批判され炎上
- 評判の悪さもあいまって、さらに経営状況が悪化
- 大量のリストラが報じられる
- マコなり社長がYouTubeを休止→再開
- しれっとテックキャンプの教室を閉じている
- マコなり社長が株式会社divの代表を辞任←今ココ
東大生のインターンがいたらしいことは、以下のツイートから分かります。
東大生ともたくさん仕事をした。
— マコなり社長(UNCOMMON) (@mako_yukinari) June 18, 2020
開成で講演して子供たちとも話した。
確信したのは「エリートたちは勝手に人生楽しくやっていく」ってこと。
だから自分はエリート、富裕層向けの事業に興味がない。
色々な要因が重なり王道から外れてしまった人にこそ機会を提供したい。
ただの自己満足です。
また、受講生一人あたりの売上が126万円というのは、以下の動画内のプレゼンで紹介されています。
急成長する短期集中プログラミング教育「TECH::CAMP」 (ICC FUKUOKA 2017 カタパルト・グランプリ)|YouTube(Industry Co-Creation)
テックキャンプを良くも悪くも盛り上げてくれたマコなり社長は、2023年1月4日をもってdiv社の代表を辞任しました。後任には、CFOをされていた石原氏が着任しました。
現状誰も得しない構造になっている
ここまで来て引き返せないのか何なのか分かりませんが、今のテックキャンプはエンジニア転職もしにくく、テックキャンプの評判も地に落ちている、というように誰も得していない構造になっています。
しかし、もともといた社員600人分の給料を稼ぐために、広告も出し続けテックキャンプを売るしか無かったんだと思います。ついには社員のリストラや退職が相次ぎ、役員にも退職者が出る始末で、今では社員数は300人以下にまでなっていますが…。
とはいえ、この状況を改善するにはリストラは仕方なかったと思います。
すべてはマコなり社長の責任なんですが、この状況を打破するには
- プログラミングをまともに教えられるメンターのみに絞る
- オリジナルアプリ開発で質問OKにする
- 受講生の実質的な転職成功率を上げていく
などが必要だと思います。
テックキャンプ以外のおすすめスクール
ここまで紹介してきたように、テックキャンプは絶対におすすめできません。
世の中には、現役のエンジニアが教えてくれ、しっかりとスキルが身についたり、オリジナルサービスを開発できたりするプログラミングスクールは数多くあります。
それに今では価格が安めのプログラミングスクールも充実してきているので、目的に合わせたスクールを選ぶことで費用も抑えることができます。
おすすめのプログラミングスクールも選んでおいたので、紹介します。
おすすめのプログラミングスクール
スクール名 | おすすめな人 | 受講料 | 年齢制限 | 転職保証 | 対応言語 | 受講形態 | 受講期間 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ポテパン キャンプ | Web系の開発企業 に就職したい人 | 440,000円 (税込) | なし | あり (20代のみ) | ・Ruby ・JavaScript | オンライン | 5ヶ月 |
侍テラコヤ | ある程度自分で学習 でき、分からない ところを質問したい人 | 月額2,980円 (税込)~ 無料プラン あり | なし | なし | ・PHP ・JavaScript ・Ruby、など | オンライン | 1ヶ月~ |
tech boost | 30代でもエンジニア に転職したい人 | 126,500円 +月額67,540円 (税込)~ | なし | なし | ・JavaScript ・Ruby ・PHP、など | オンライン or 通学(渋谷) | 3~12ヶ月 |
Programmer College | 無料でエンジニア に転職したい20代の人 | 全て0円 | ~30歳 | なし | ・Java ・PHP、など | オンライン | 1~3ヶ月 |
TechAcademy | 副業したい人 | 99,000円 (税込)~ | なし | あり (プラン による) | ・JavaScript ・WordPress ・PHP、など | オンライン | 1~4ヶ月 |
ポテパンキャンプ
ポテパンキャンプは、転職成功者のWeb系開発企業の内定率100%!
未経験からでもWeb系開発企業で通用するようなスキルが身につくカリキュラムに加え、卒業生の紹介先としてWeb系企業100社以上と提携。
そのため、Web系企業への高い就職率を誇ります。
分からないことがあっても、毎日10時〜23時までと幅広い時間帯で質問に対応してくれます。
ポートフォリオ作成や面談対策などの転職サポートも充実しています。
侍テラコヤ
侍テラコヤは、サブスクリプション型のプログラミング学習サービスです。
- 質問し放題、回答率100%のQ&A掲示板が利用できる(しかも平均30分で回答が来る!)
- 月に1回、現役エンジニアのレッスンが受けられる
- プログラミングやWebアプリ開発、機械学習などの50種類以上の教材が学習し放題
といったサービスが受けられます。
これだけの内容にも関わらず、料金も入学金は無料、月額料金も無料のフリープランがあります(ただし、フリープランだと一部の教材やQ&A、現役エンジニアのレッスンは利用不可)。
すべての教材が利用できる有料プランでも月額2,980円(税込)~という格安で利用できます。
この料金にも関わらず、未経験からエンジニアに転職・就職するための面接対策や職務経歴書の作成サポートも付いています。
いつでも退会可能で1ヶ月だけの利用もOK!(有料プランの場合は、途中解約で解約手数料が発生する場合あり)
まずは無料で始められるので、とりあえず登録してみましょう。
tech boost
tech boostは、エンジニアが選ぶプログラミングスクールNo.1!
運営会社がエンジニア向けの転職エージェントやフリーランスエージェントを運営しているので、キャリアサポートに強みがあります。
メンターは100%現役のエンジニアで、転職時のポートフォリオとして使えるオリジナルアプリ作成もできます。
入学金がかかるため料金は少し高めですが、着実にスキルを身につけられるため、料金に見合ったリターンがあると言えます。
まずは無料相談会で、あなたに合った学習プランを提案してもらうといいでしょう。
ProgrammerCollege
ProgrammerCollegeは、正社員経験が1年以上ある30歳までの方限定で、入会金も受講料も完全無料!転職しなかったときの違約金もありません。
有料のプログラミングスクールと違い、受講者が転職することで企業から報酬を得ています。なので、他社スクールよりも就活支援が圧倒的に強く、就職率も96.2%を誇ります。
マンツーマンでとことん質問できる環境があり、Java Silverの資格取得もできます(受験料も負担してくれます)。
TechAcademy
TechAcademyの副業コースは、はじめての仕事の受注を保証してもらえます。
オンラインでの学習に特化しており、毎日15時〜23時の間はメンターが常時オンラインで待機しているので質問し放題。
副業中の疑問解決や品質管理も、メンターがメンタリングとチャットでサポートしてもらえます。プロからのアドバイスを通して、実務をこなす力が着実に身につきます。
TechAcademyは無料体験も可能なので、どうしても不安な方はまずは体験してみるといいでしょう。