サービス残業や長時間労働の問題がでると必ずといっていいほど出てくるビジネス単語の「みなし残業制」。
みなし残業が話題に挙がるのは、この仕組を自社に都合のいいように使い回しているからと断言できます。
そのままみなし残業を不正に使い回されたら、給料も時間も搾取されます!
あなたの会社でみなし残業制が悪用されているのなら、早いうちに転職を検討したほうが懸命でしょう。
本来の「みなし残業制」って?
みなし残業はおかしい。みなし残業を取り入れる会社はブラック企業だ。
こんな考えが巷では先行します。
本来、みなし残業というワードは正規の労働基準法にでてくる用語です。正式には「みなし労働時間制」と呼びます。別名で「固定残業制」ともいう。
「みなし残業」とは、一般的に以下の3つの意義を有します。
1つ目はいわゆる「固定残業代」です。固定給の中に定額の残業代があらかじめ含まれている給与体系を指します。
2つ目は「事業場外労働みなし労働時間制」と呼ばれるものです。会社の外で仕事をする社員について、労働時間の把握が困難であることから、あらかじめ所定の時間労働をしたものとみなす給与体系を指します。
3つ目は「裁量労働みなし労働時間制」です。裁量労働を行う社員について、通常の労働時間に関する規則を適用することなく、あらかじめ所定の時間労働をしたものとみなします。
引用元:【弁護士監修】みなし残業(固定残業代)の違法性がすぐに理解できる5つのチェックリストと判例3選|残業代請求などの弁護士費用をサポート「アテラ」
時代の流れとともに、働いた時間で給料を決定する事が難しくなっている事に伴った法的な措置とも言い換えられますね。
歩合制で直行直帰の営業職の人や、商品の開発などの仕事をしている人に対しての措置とも捉えられます。
ここで問題なのが、「みなし残業制」の経営側に有利な部分だけを抜粋して使っている会社が存在しているという点です。
みなし残業はいえば、数十時間分の残業をするという前提で、定額残業代込みの給料を支給するという仕組み。
あくどいブラック企業ほどこういった部分だけに着目します。
ブラック企業ほどみなし残業をいいように利用する
みなし残業は本来であれば、
- 時間で計りにくい仕事を平等に評価するもの
- 労働時間が計れない人の安全を配慮する仕組み
であるものです。
しかしながらブラック企業ではこういった部分には目もくれずに自社の都合のいいように履き替えます。
ブラック企業にかかれば「みなし残業」は、
- 一定額の残業代さえ払えば社員を定額パケット使い放題にできる
- 社員全員みなし残業にしとけばOK(残業代一定額で済む)
といったおかしい解釈に一気に様変わりします。
しかしこれ、どちらも違法な使い方ですね。
一定額の残業代さえ払えば社員を「定額働かせ放題」にできる?
これは完全に法律を踏みにじっている考え方と言えますね。
まずもって、「みなし残業」は一定の残業代さえ支払えば、それを超えた分は残業代を免れることができる法律では断じてありません。
頭のおかしい経営者ほど、
うちはみなし残業を導入しているんだから、キッチリ社員を使い潰せ!
こんな事を叫ぶ輩もいることでしょう。
まるで金払ってんだから元を取らなきゃ損しちゃう!とでも言いたげな悪態ぶりです。子供じみてもいます。
勘違いしちゃいけません。
「みなし残業制」は、給料の中に〇〇時間分の残業代が組み込まれているといった意味です。
時期によっては当然その時間に満たない事もあるでしょう。そんな時でも正常な会社であればその分の(みなし残業分)のお金は支給されるわけです。
更には、みなし残業時間分を過ぎた場合。
こういった場合には過ぎた分の残業代を会社側には支払う義務があります。
仮に、
例)月給25万(内みなし残業代5万円(40時間分))
だったとしましょう。このような場合、就業規則で決まりがない場合には、残業が40時間に満たなくても基本的には40時間分のみなし残業代が支払われるのが一般的。
更には40時間を超えた分。この分は会社は別途で残業代を上乗せして支給する義務があります。
仮に一ヶ月で50時間の残業をした場合には、
例)月給25万(内みなし残業代5万(40時間分))+10時間分の残業代
を支払う義務がある。
ところが、横柄なブラック企業の経営陣はこうした部分には目もくれません。
そんなことよりもむしろ、
〇〇時間分の残業代さえ支給すれば、社員を無限に使い潰せる。
いわば定額働かせ放題だな!
こういった認識をしているのです。
入社時に、みなし残業の説明がおぼつかず明確に出来なかったり、契約書にそもそものみなし労働時間数が書いていない場合はかなりブラック企業の確立が高い。
社員全員みなし残業にしとけばOK(残業代一定額で済む)?
みなし残業は便利だ。みなし残業を組み込めば社員を使い倒せる。
こんな風に息巻くブラック企業は、
この際、うちに入社する社員に対しては営業・経理・事務職問わずに全員その仕組を取り入れよう。
中にはこんな会社も存在する。
しかしこれも違法も甚だしいところ。
みなし残業は誰でも彼でも適用できる仕組みではありません。
時間で縛られていない職種の人や、成果で給料が決まっている人が対象であることを述べました。
9時~18時までのように、勤務時間に明確にライン引きのある「経理や事務」のような職種には当然あてはめることはできません。
また、営業職であっても、出社時間や退社時間が決まっている営業の場合には、裁量型の職種とみなされず、「みなし残業」を当て込む事は出来ないのです。
自分の意思で、仕事量や作業時間を一切決定できない職種にも当てはまらない。
例えば、
こういった誰かの管理監督下に置かれた職種の場合には、「みなし労働時間制」を当てはめる事はできないのです。
その為、上記に当てはまる職種にも関わらずみなし残業制が採用されている場合には、かなり危険な状態と言えます。
社員の事など微塵もかえりみない悪質なブラック企業の可能性がかなりある。
厄介な事に入社してからみなし残業の説明をする
ブラック企業で問題なのは、入社するまで「みなし残業制」の説明をしない会社が多い事です。
入社し、給料明細を見て始めて自分の会社が「みなし残業」を取り入れている事が発覚する。
中には、
給料25万(内基本給12万、内固定残業代13万)
のように、基本給を一気に下げ、さもうちは残業代は奮発していると誇張する悪どい会社すらあります。
残業代13万分(時間にすると100時間)が込みの給料で、当然ながら100時間を超えない拘束時間になっている。
要は初めから残業代など払う気が無いんですね。
怖いことにこれを入社前に説明をしないのです。明細を貰って始めて気づく。
聞かれなかったから。
一応は言ったけど。
のような確かめようのない過去の事実に追いやり、曖昧にしてしまい、グレーゾーンに関しては必死にかき消そうとする。
得てしてこういった局地に追い込まれてしまうのは、世間の仕組みにまだ熟知していない若者がほとんどで、いきなりこんな現実をつきつけられても、
どうしていいのいか分からない。
なんとなくおかしいがいきなり退職するわけには・・・。
といった案配で、声を上げないでうろたえてしまう。
ブラック企業は若者が抵抗しない事も全て計算の上で、分かった上で「みなし残業制」をしいているのです。
みなし残業(固定残業代)の違法性が一目で分かる5つのチェック項目
これまで紹介してきたように、みなし残業だからといって、固定残業代でいくらでも働かせていいわけではありません。
もしあなたの会社が次の項目に当てはまる場合、違法である可能性があります。
1. 残業時間がみなし残業時間を大幅に上回るが支払われていない
引用元:【弁護士監修】みなし残業(固定残業代)の違法性がすぐに理解できる5つのチェックリストと判例3選|残業代請求などの弁護士費用をサポート「アテラ」
2. みなし残業代が基本給に含まれている
3. 雇用契約や就業規則にみなし残業に関する規定が記されていない
4. 月45時間以上のみなし残業
5. みなし残業を除いた基本給が異様に少額
違法に社員を残業させている会社であなたが働いていしまうと、違法なブラック企業が生き残ってしまうことになります。
なので、世の中のためにも、このような職場は今すぐにでも抜け出すようにしましょう。
最後に|みなし残業制の会社を抜け出すために
みなし残業のおかしさ、なぜブラック企業が率先して取り入れるかについて書きました。
まずみなし残業制の会社を脱出するには、
- 自分の置かれている状況を社外の人から話を聞いて、把握する
- 専門のコンサルタントに指示を仰ぐ
- ソッコーで退職する
これに尽きます。
もしあなたが、今の境遇に違和感を感じているならば、必ず自社以外の人間から客観的なアドバイスを貰って下さい。
その上で整理し、転職エージェントなり弁護士なりにアドバイスを聞いていけば自ずと進むべき方向がつかめてきます。
正当に「みなし残業制」を取り入れていないブラックな会社にいたら、あなたは損をし続けます。
お金も勿論ですが、考え方すら卑しい方向に行きかねない。
そうならないためにも、素早い行動を一考してみてください。
おすすめの転職エージェント
最後におすすめの転職エージェントを紹介します。
転職エージェント自体の利用は無料なので、とりあえず相談だけしてみるという使い方でもありでしょう。
リクルートエージェント
リクルートエージェントの特徴は、なんと言っても求人数の多さ。日本一の求人数を誇ります。一般の求人サイトには掲載していない非公開求人も10万件以上あり。
様々な職種、年齢、勤務地に対応しており、転職した者の2/3は一度は登録しています。
豊富な転職支援実績データに基づく選考サポートが手厚く、履歴書作成から面接準備まで転職のプロがサポートしてくれるので、登録しておいて損はありません。
カウンセラーの対応も迅速なので、働きながら転職活動をするのにうってつけのエージェントです。
LHH転職エージェント
LHH転職エージェントで年収アップしている人多数!キャリアアップを目指す人向けの転職エージェントで、外資系、法務・経理などの管理部門、第二新卒などの転職に特に強いのが特徴です。
世界でもTOP3位に入る人材会社のアデコグループが運営しており、細かなカウンセリングによる高いマッチング精度が売り。
普通のエージェントは転職者と企業側の担当が分かれているところ、LHH転職エージェントは1人で転職者と企業側を担当しています。そのため、企業カルチャーとの相性まで見極めることが可能です。
エージェントは各専門職種に精通しているため、他のエージェントにはできなかった専門的なことまで相談できます。
doda
dodaは、転職者満足度No.1、人材紹介会社に関するポジティブな口コミ数でNo.1を獲得しており、職種ごとの多種多様な求人を保有しています。
求人数もリクルートエージェントに次いで多く、非公開求人を含めて約10万件。大手企業から中小やベンチャー企業まで幅広い求人を持っています。
履歴書、職務経歴書だけでは伝わらない人柄や志向を企業に伝え、選考通過を後押ししてくれるなど、転職成功のサポートも万全です。
転職活動に失敗したくない人や、次こそは長く働ける職場を探したいと考えている人などにおすすめです。
アデコ転職エージェント
アデコ転職エージェントは、日本で37年以上の人材事業を運営している実績があります。
人気の事務職や営業の求人に特に強く、一般事務や経理事務、総務事務や英語を活かす事務系の求人が多めです。他にも、IT系や広報・マーケティングの求人などもあります。
他の大手の転職エージェントと比較すると求人数は少なめですが、やはり求人数が少ない事務職に強いのが魅力的です。事務未経験でもOKな求人もあります。
ただし、特に事務職は人気なので、20代~30代前半ぐらいまででないと求人が見つからない可能性もあります。
何はともあれ面談してみないと分からないので、まずは相談してみましょう。平日の遅めの時間帯も面談可能です。
マイナビAGENT
マイナビAGENTは、20代からの信頼がNo.1の転職エージェントです。
熱意のある担当者によるサポートも評価が高く、中小企業や第二新卒のための独占案件の多さに定評があります。
転職サポートについては、職務経歴書のブラッシュアップや模擬⾯接はもちろん、利⽤回数や期間に制限なく転職相談をすることが可能です。
また、関東圏・関西・東海地方の求人が豊富で、20~30代向けのベンチャーから大手まで優良企業の求人を保有しています。