SESから転職を考えたときに「自社でサービスを持っている会社に行きたい」と考える人も多いはず。
Web系の自社開発企業は1つのサービスに長く関われるため、SESとはまた違うメリットを感じられます。
例えば、
- 自分がサービスの成長に貢献していることを実感できる
- 人間関係が一度できると仕事が進めやすくなる
などなど。
ただし、Web系の自社開発企業への転職を目指すにあたって「自分に自信を持てない」と感じる人も多いです。
一般的に言えば、自社開発企業の採用ハードルはSES企業よりも高いです
そこで今回は、SESから自社開発企業へ転職する際の手順を5ステップに分けて解説します。
SESから自社開発への転職は可能だが簡単ではない
そもそも、自社開発企業はSIerやSES企業に比べると数が少なく、採用数も少ないため転職のハードルも高くなっています。
厚生労働省のデータによると、客先常駐を行う企業はIT企業全体の9割もあります。
自社開発企業に優秀な人が多いのは採用ハードルが高いためです
いくらエンジニアが不足しているとはいえ、SESからWeb系の自社開発企業への転職の難易度は低くないことは意識しておきましょう。
とりあえずエージェントに登録しても転職は成功しない理由
自社開発企業へ転職する方法を調べると、真っ先にエージェントサイトに登録する方法が出てきますが、まず上手くいきません。
自社開発企業は出てくる問題に対して、自分なりに考えられる人を好みます。
なぜなら、未知の問題に対して自分たちで考えてサービスの成長を推し進めていかなければならないためです。
「とりあえずエージェントに登録すればなんとかなる」という思考は、100%面接で見抜かれて落とされます。
まずは、自社開発企業が「採用したい!」と思えるように、アピールポイントや志望理由、転職理由を整理しておくことをおすすめします。
SESとWeb系の自社開発企業では求められることが異なる
SESでは開発や保守運用、PMなどのマネジメントなどの、エンジニア関連以外の業務をやることは少ないと思います。
一方で、自社開発企業ではサービスを伸ばすために、エンジニアであってもマーケティングや企画・ブランディングを考える能力も必要となってきます。
もちろん、Web系企業であれば専属のマーケターやディレクターがいて、その人たちが仕様を考えてくれることも多いです。
ただ、マーケティングについての知識もある程度持っていないと、その人たちと話ができず、業務を円滑に進めることができません。
なので、適正としてはエンジニアリング以外のことにも興味がある人や、自分でWebサービスを作ってみたい(作ったことがある)人のほうが向いており、転職しやすいと言えます。
その他、自社開発企業で求められるスキルや素養としては、
- 開発スピード
→ サービスが当たるのかどうかを早く検証するため - 転職先の企業のサービスに対する関心や知識があるか
→ 自社開発企業では開発して終わりではなく、グロースさせていかなければならないため - 自社開発企業の社風にマッチするか
→ チーム人数が多くないので、チームに合わない人が入社すると開発効率が落ちるため - 必要があれば深夜勤務も可能か
→ サービスによっては深夜にリリースやメンテナンスをすることがあるため
などが求められます。
なお、転職先の自社開発企業の開発言語を経験したことがなくても採用される場合があるので、過度にこれまでのスキルを気にする必要はありません。
その他、SIer・SES企業とWeb系企業との違いは、以下の記事にまとめているので、興味があれば読んでみて下さい。
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SESからWeb系の自社開発企業へ転職する現実的な5ステップ
自社開発企業への転職を考えるなら、「自分が企業へ提供できる価値」を考え抜くことが重要です。
人手が足りない企業でも、価値を明確に伝えられない人に給与を払って採用したいとは思いません。
SESだと人手=単価になるので、数を採用するケースもありますが。。
面接を突破するためには、以下の5ステップを通して自分の強みを他者に説明できるようにしておくことです。
STEP 1:スキルの棚卸しをする
SESであれば企業へアサインされるときに案件の経歴書を提出するので、その経歴書を用意してください。
経歴書を用意したら、強みにできそうな部分を些細なことでも構わないので探しましょう。
- 3ヶ月だけでもGoを触っていた
- 案件でサーバー構築も結果的にすることになった
- 仕方なくだけどサブリーダーのポジションをしていた
- 気づけば5種類以上の言語を触っていた
- オンプレもクラウドも両方経験がある
「特に特徴がないな…」と思ったとしても、必ず人にアピールできるポイントがあります。
- レガシーな技術経験ばかり
→言語を問わず前向きに仕事ができる - 特にリーダー経験もない
→忙しい上司に代わってコミュニケーションを上手く取れる
STEP 2:自分のアピールポイントを決める
自分のアピールポイントには、1つは技術要素を入れたほうがいいですが、他の要素も強みになりえます。例えば、
- 採用活動を通して転職者を獲得した
- 物流の業界にいたので業界知識がある
- リモート環境下でも職場の雰囲気を改善した
などなど。
そして、複数の要素をかけ合わせると、企業に強烈にアピールできる強みが見えてきます。
一例を挙げると、
- 実装スピードが速い
- 物流の業界知識がある
- 言語に縛られない柔軟性
を強みと設定したすると「物流業界の知識があるキャッチアップが得意なスピード型エンジニア」と定義できます。
強みを聞かれて即答できない人は本っっっっ当に多いので、これだけで上位20%には入れます。
STEP 3:活躍できそうな企業像を考える
先ほどの、「実装スピードが速い」×「物流の業界知識がある」×「言語に縛られない柔軟性」という強みを考えると、
- 変化のあるベンチャー企業の方が活躍できそう
- 業界知識を活かせる業界の方が採用確率が上がりそう
- 言語やポジションに囚われすぎない企業の方が良さそう
といった、企業像がぼんやりと見えてきます。
1つ1つの強みやスキルが100人に1人のものでなくても、5人に1人のスキルを3つかけ合わせると125人に1人の人材になれます。
強みの定義は間違っていても構いませんし、「全然こんな人ならいそう…」というレベルでも問題ありません。
全く同じ経験をしている人はいないので、これだけでも意外と差別化できます。
エンジニアスキルはもちろん重要ですが、それ以外にも自分の強みを定義しておくと面接でパッと答えられることが増えていきます。
STEP 4:転職エージェントを使ってブラッシュアップする
自分の強みを定義したら初めて転職エージェントと相談しましょう。
おすすめの転職エージェントもピックアップしておきました。
レバテックキャリア
レバテックキャリアは、ITエンジニアやデザイナーに特化した転職エージェントです。ITエンジニアが利用したい転職エージェントNo.1に選ばれています。
15年以上の運営実績があるためエージェントが技術に精通しており、あなたが望む条件やキャリアプランを踏まえた上での提案をしてくれます。
大手IT企業からWeb系企業、スタートアップまでを幅広く網羅しており、保有求人数は7,000件を超えています。
そのうち5,000件以上が600万円以上のハイクラス求人で、キャリアアップしたい方や年収アップしたい方におすすめです。
マイナビIT AGENT
マイナビIT AGENTは、全国各地のエンジニア求人を15,000件以上保有している転職エージェントです。
さすが人材大手のマイナビだけあって求人が充実しており、特に20~30代向けの求人が豊富です。
職務経歴書の添削や面接対策にも力を入れてくれ、転職が初めての人でも安心して利用できます。
エージェントも専門性が高く、技術的な話もすんなり通用します。
なお、Webデザイナー・クリエイターの方は、マイナビクリエイターをご利用ください。
転職ドラフト
転職ドラフトは、毎月1回開催される企業側からあなたにダイレクトスカウトが送られてくる転職イベントです。
通常は内定獲得後にわかる内定年収がスカウト時点で提示されるのが最大の特徴です。
レジュメ作成サポートを受けることで質の高いレジュメを作成でき、そのレジュメを見て企業がスカウトを送ります。そのため高いマッチングが実現され、年収UP率93.8% / 平均年収UP額126万円という高い年収UP率を叩き出しています。
また、転職では「現年収を元に内定年収が決まる」ということがよくありますが、転職ドラフトでは現年収は非公開で転職活動が行えるため、純粋なスキルで勝負ができる点も魅力的です。
paiza転職
paiza転職は、エンジニアに特化した求人サイトで、2000社を超える企業が採用に利用しています。
最大の特徴は、オンラインでのプログラミングテスト「paizaスキルチェック」を受験してスキルを証明し、それを使って転職活動ができる点。
スキルが高ければスカウトも受け取れますし、高年収も得やすくなります。
また、「paizaスキルチェック」は何度でも受験できるので、今のスキルに自信がなくても大丈夫です。
今すぐに転職する気がなくても、とりあえず今の自分の市場価値をある程度知ることができるので、登録しておいて損はありません。
クラウドリンク
クラウドリンクは、100%自社内開発の求人を取り扱っている転職エージェントです。理想の転職先が見つかるITエンジニア向けの転職支援会社No.1にも選ばれています。
年収や休日数、労働環境などの審査基準も設けており、優良企業のみを紹介してもらえます。また、他社エージェントは取り扱ってない、独占求人もあります。
利用者の66.7%が年収アップしており、その額も平均58.3万円にのぼります。
転職後の定着率も98.3%という高さを誇るので、自社開発の企業に転職したいなら登録は必須です。
レバテックフリーランス
レバテックフリーランスは、利用者の平均年収は876万円、利用者満足度も92.6%を誇る、業界でも屈指のフリーランスエージェントです。
豊富な直請け案件を保有しているのに加え、契約が途切れて不安にならないように徹底した早期確認を行なってくれるため、途切れることなく仕事を続けられます。
他にも、特別価格で税理士に確定申告の代行を依頼できたり、人間ドック・スポーツジム・フィットネスクラブなどを優待価格で利用することもできます。
まずは案件を紹介してもらい、いい案件が見つかったらフリーランスに転向するという利用方法もできるので、ひとまず登録してみましょう。
その他のおすすめ転職サイトは以下で紹介しています。
なお、一般的に転職エージェントには「転職の理由(キャリアプラン)」「転職の条件(年収など)」を聞かれます。
それらの質問への回答に加えて、自分の強みと行きたい企業像を説明して、アピールポイントをブラッシュアップできないか?を聞きましょう。
エージェントからの企業紹介で、より自分に合った企業を紹介してもらえるようになります。
STEP 5:面接対策をする
面接は、あらゆる角度から対策するに越したことはありません。
- 的確な受け答え
- 自分の実績を自信を持って話す
- 相手の企業に寄り添った回答
これらができればベストですが、
正直どうしても受け答えが苦手…
というエンジニアも少なくないでしょう。
面接がとにかく苦手な人は、最初の印象で不採用判定されないために、1分間の自己紹介だけは何度も練習することをおすすめします。
最初の印象が悪いと一発でアウトになってしまいます…
その後、30分の面接で正確な受け答えができないことも多いです。しかし、最初さえ良ければ意外と面接通過することも多いので、必ず自己紹介だけは練習してください。
面接がとにかく苦手な人は、転職エージェントの面接サポートも活用しましょう
他にも、Web系の自社開発企業の面接では、以下のような質問をされやすいので、事前に対策しておくと、さらに受かる確率を上げられます。
- 現職の開発メンバーの構成とあなたの役割は?
- 今まで担当した業務内容や年数は?
- (特に若手のエンジニアに対して)将来的にどんなエンジニアになりたいか?
- どんな技術に興味があるか?
- 普段はどのように自己学習をしているか?
- コードレビューをされた(した)経験はあるか?
- 実装、レビューする時に気をつけていることはあるか?
- 今までで一番大変だった開発内容はどんなものか?
- 大変だったことをどう乗り越えたか?
- 営業やデザイナーのような他分野の職種の人とやり取りする機会はあったか?
(補足)複数社の選考を同時に進めるのがおすすめ
これは自社開発企業への転職に限りませんが、複数社の選考を同時に進めておくと複数社から内定が出たときに比較して入社する企業を決められるというメリットがあります。
自社開発企業といってもピンキリですからね。急成長している企業もあれば、経営危機にある会社やブラック企業もあります。
内定が出た後は、だいたい1~2週間程度で回答を求めてくる企業が多いので、同時に選考を受けて内定が出る時期もある程度揃えておいたほうが企業を選びやすくなります。
また、複数社から内定が出た後だと、給与交渉もやりやすくなります。
なお、ホワイト企業かどうかを見分けるコツは、以下の記事にまとめています。
» IT転職・就職は自社開発がおすすめ!ホワイト企業を見分ける6つのポイント
まとめ|SESから自社開発を目指すなら「強みの整理」が第一歩
ここまで、SESからWeb系の自社開発企業へ転職するためのステップについて解説しました。
自社開発企業は、SES企業よりも数が少ないため採用難易度は高くなります。なので、エージェントに任せるだけでは正直転職するのは難しいです。
自社開発企業へ転職を目指すなら、自分の強みで企業の足りない部分をカバーできる必要があります。それらを明確にするためにも以下の準備は実施しておきましょう。
おすすめの転職エージェントも再掲しておきます。
他にも、転職にあたってより具体的な手順と理想の企業の見つけ方について以下の記事で解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。