労働基準監督署がなかなか動かない理由と動かす方法

ブラック企業から転職
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もうこんな会社で働いてられるか!
労働基準監督署に駆け込んで訴えてやる!

こんな思いをした方も多いと思います。

しかし、実際に労働基準監督署に相談しに行ったものの、「何もしてくれなかった…」と嘆いている人が少なくないのです。

実はこの労基署、訴え方や内容によってはなかなか動いてくれないのです。

結論から言うと、労働基準監督署は管轄外のことには一切動きません!

そこで今回は、労基署が動いてくれない理由やどうやったら動いてもらえるのか、それでも動いてもらえないならどうすればいいか、を解説します。

労働基準監督署の扱う業務には範囲がある

そもそも労働基準監督署が動かない理由として多いのは、相談内容が「業務内容」の範囲外だったという場合です。

そして労働基準監督署は、「労働基準法」「労働安全衛生法」「最低賃金法」といった労働法関係の法律を会社が守って運営しているかを管理・監督しているに過ぎないのです。

なので、

上司にネチネチ文句を言われて傷つきました

上司から執拗に食事の誘いを受けて困ってます

といったパワハラは労働法関連の問題でないため、労基署は対応してくれません。

あくまで

労基署<br>職員
労基署
職員

それは辛いですね〜

と同意してくれるか、関係する法律はこういったものがあるなどの案内をしてくれるだけ。

パワハラや暴力でケガを場合はそもそもが刑法に関わることなので、警察に行くよう勧められるぐらいの塩対応を受けます。

その上で、

労基署<br>職員
労基署
職員

もう一度、ゆっくり会社や上司と話し合ってみては?

こんな事を言われてしまいます。

特に、あなたが会社側と意見のぶつかり合いをせずに駆け込んだ場合は、何が違反になっているのかも不明な事が多いので、再度話し合ってくる事を案内されてしまいます。

 

労基署に駆け込めばなんとかなると思ったのに、何もしてくれないのかよ!

と労基署に不信感を持ってしまいがちですが、労基署が動ける範囲も法律で決まっているのです。

労基署が労働法関連でない事案にまで簡単に動いてしまうと、逆に労基署側が法律違反をしてしまい問題になってしまいます。

なので、労基署が対応できるのはあくまでも労働法に関する問題だけということを覚えておきましょう。

労基署が動く一般的な労働問題

では、労働法関連の問題としてどのようなことがあるのかというと、一般的には次のようなことがあげられます。

  • 給与、残業代、退職金など会社からの未払いがある場合
  • 月の残業時間が80時間を超える等の長時間労働をしている場合
  • 労働条件が雇用契約と異なる場合
  • 突然、会社が倒産した場合
  • 有給休暇の取得が出来ない場合
  • 不当な解雇・懲戒処分を下された場合
  • 不当な減給や一方的な減給がされた場合

これ以外にも、自分が抱えている問題が労働法の問題かわからなければ、労基署に一度問い合わせてみましょう。
» 労働基準監督署の管轄地域と所在地一覧(東京都の場合)

ただし、労基署はだいたい午前9時半から午後5時半ぐらいまでしか受付してないので、夜間や土日祝日でも電話で相談したい場合は、厚生労働省の「労働条件相談ホットライン」というサービスを利用しましょう。

 

労働問題に関することでも労基署に動いてもらえない原因

では、残業代や給与問題など労働法関連の場合、常に労基署が動いてくれるのかというと、答えはNOです。労働基準法101条で、「労働基準監督官は権限として会社を調査することができる」とされているにも関わらず。

そこで、よくある労基署が動いてくれない主な原因3つを解説します。

  1. 匿名の電話相談しかしていない
  2. 労働基準監督官の数が少ない
  3. 調査するための証拠がない
  4. 明確に調査をしてほしい意図が伝わっていない

匿名の電話相談しかしていない

匿名の電話で会社の相談を労基署にしただけでは動いてくれないことがあります。

理由としては、「動くに足る信頼性がない」「緊急性が低い」と考えられてしまうからです。

ましてや次で紹介するように、労基署は人員不足ということもあり、緊急性の高い案件から処理しがちです。

なので、緊急性の低い案件については後回しされ、結果的に動いてもらえないのでです。

労働基準監督官の数が少ない

これは相談者にはどうしようもないことですが、労基署は人員が足りていません。

労働基準監督官は2016年時点で3,241人で、雇用者1万人あたりの監督官の数でいうと、米国に次ぐ少なさです。

税務のスペシャリストである国税専門官が60,000人近くいることを考えると、その人員の少なさは異様です。

しかもここまで人員が不足しているのに、日常の労働相談は逆に増えているといった実態。

労基署に動いてもらえない背景には、こういう事情もあることは理解しておきましょう。

調査するための証拠がない

調査をする前提として、証拠が揃っており、労働法に違反していることが明らかであることも必要です。

根拠がなく会社を調査して何も問題がなかった場合、労基署に時間とコストの負担がかかってしまいます。また、立ち入った会社にも疑いをかけたとして迷惑がかかってしまいます。

そこで基本的に、労基署は調査をする必要がうかがえるような事実や証拠が明らかになってから調査を行おうとします。

例えば、残業代未払いなら、給与明細や労働記録など、調査の前提となる証拠資料の提出を求められることが多いのです。

明確に調査をしてほしい意図が伝わっていない

労基署に勤務先を調査・指導してほしい場合、その旨が伝わっていないこともあります。

そんなことある?

と思うかもしれませんが、例えば「残業代の不払いに悩んでいます」と相談した場合に、残業代の計算方法や残業代を請求する通知書の記載方法を教えてもらえるだけで、調査や指導の話にならないこともあります。

要は、労基署に調査の希望を明示しなければ単なる仕事の相談とみなされてしまう可能性があります。

 

労働基準監督署を動かすコツ

では、労基署により確実に動いてもらうためのコツを3つ紹介します。

  1. 自分の名前と会社の名前を明らかにして直接対面する
  2. 事実関係や証拠を整理しておく
  3. 調査や指導をしてほしい旨を明確に伝える

自分の名前と会社の名前を明らかにして直接対面する

労基署に相談する際には、自分の名前と会社名を明示した上で直接面談をした方が電話よりも話をよく聞いてくれる場合があります。

労基署には、ライバル会社によるガセ情報や逆恨みによる相談が大量に来ます。そこで、本人の氏名が明らかになった場合、本当に緊急性があり信頼性のある案件と判断しやすいのです。

もちろん、名前を伝えたら勤務先にバレるのではと不安に思うかもしれませんが、労基署は通常、依頼者の名前を勝手に会社に伝えることはないので心配ご無用。

また、面談をする場合、事前に電話で面談を希望すると伝えておくとスムーズに面談ができるというのも覚えておくといいでしょう。

事実関係や証拠を整理しておく

労基署に相談する前に事実関係や証拠も整理しておきましょう。

いきなり相談しても、事実関係や証拠があいまいだと労基署も調査にのりだしにくいのが実情です。

具体的に、会社のどういう行為が法律に違反するか、時系列に沿って証拠や資料を整理しておきましょう。

例えば残業代未払いの場合、労働時間のタイムカードの記録や給与明細など、いつから未払いがあるかわかる資料を集めましょう。

音声がある場合にはICレコーダーやスマホで録音をとっておくといいでしょう。

また、証拠が揃えられない場合でも、可能なら会社に証拠の提出を求め、会社の対応した資料など個人でできることをした上で相談すると良いでしょう。

調査や指導をしてほしい旨を明確に伝える

最後に、労働基準監督署に相談する場合には、調査や指導をしてほしいと明確に伝えるようにしましょう。

面談の際に、担当者に「調査や指導に至るまでの流れ」や「調査をしてもらうためにあなたがすべき事項」があるかを確認しておくといいでしょう。

(補足)労基署が動いても検察が動いてくれないケースもある

これは仮に労基署が動いてくれたとして、その後の話になるので、興味がある人だけ読んでください。下の「検察が動かない理由」をクリックすると内容が表示されます。

「賃金不払い」や「サービス残業」など、明らかに労働法に違反しており証拠も出揃っている。

そうなると労基署は、通常の法律がちゃんと守られているかの「定期監督」とは違い、通報が合った場合の調査としてアポ無しの「申告監督」という臨検調査に出ます。

さらに相談者との話し合いを重ねた上で、

  1. 労働関係の書類の調査(内容の妥当性の確認)
  2. 会社代表・責任者へのヒアリング
  3. 現場への立ち入り調査・ヒアリング
  4. 口頭での指導指示

概ねこういった形で監督を行い、悪質であれば「指導票」や「是正勧告書」を会社に交付します。

これにもめげずに経営者が改善の意を示さなかったり、問題を放置した際には、労基署は最終的に刑事罰で会社から罰金を取るために送検する方向に持って行こうとします。

しかし、実際に労基署が検察に送検しても、検察官がその「賃金不払い」問題を起訴してくれないケースもあります。

あくまでも労基署は相談者から寄せられた情報などをもとに、検察の判断材料となる資料を検察に投げるだけ。

その材料を元に、事件性が高く裁判に持っていくかどうか判断するのは労基署でなく検察なのです。

 

というのも検察側としても、会社側に賃金を支払う能力があったにも関わらずに意図的に支払わなかった(悪意性が高い)という状況でないと、いくら送検されても起訴に踏み切れないという事情もあるのですね。

検察
検察

こちらがいくら立件したところで、会社側も支払い能力がなければ仕方がない。
是正させようにもどうにもならない。

こういった考えを持っている。

残業代不払いで労基署に駆け込んだとしても、業績不振で働いた分の賃金を支払えない会社側のフトコロ事情も絡んでくるなど、こちらの要望通りに進まないことも多いのです。

 

それでも動いてくれない場合

これまで紹介してきたことを実行しても労基署が動かない場合があります。そうなるともはや別の方法をとるしかありません。具体的には以下の3つの方法が考えられます。

  1. 告訴する
  2. 訴訟を起こす
  3. 会社に見切りをつけてさっさと転職する

告訴する

労働基準監督官は司法警察員の側面もあるので、労働基準監督官に会社を裁判所に訴えるよう「告訴」する方法もあります。

告訴となると、労働基準監督官は書類送検をして裁判で会社と争う形になります。

ただ、労働基準監督官は裁判となると手続きが煩雑なため、会社への調査などの申告を先に行うよう提案する場合があります。

なので、労基署が調査など動いてくれない時には申告手続きをすることで調査を促すことができます。

訴訟を起こす

さらに、労基署が動いてくれない場合、あなた自身が当事者となって会社と裁判で争う訴訟を起こす選択肢もあります。

訴訟では「労働審判」「通常の民事訴訟」の2つがあります。

労働審判

労働審判とは、3回までの期日で話し合いによる解決を目指す手続きです。通常の訴訟の簡易な手続きと考えてください。

労働審判では、裁判所が第一回期日で形成した心証を踏まえて、双方の折り合いがつくかどうかを検討していきます。もし話し合いによる解決が難しい場合には、裁判所が一時的な判断を下すことになります。

なお、裁判所の判断に異議が出た場合には、通常の民事訴訟に移行することになります。

通常の民事訴訟

通常の民事訴訟は労働審判と違い、期日の回数に決まりはないので、解決までに1年程度かかるのが普通です。

そんなに待てないのであれば、以下の2つの方法があります。

  1. 調停:裁判官と一般市民から選ばれた調停委員などが間に入り、話し合いで解決を目指すもの。期日の回数制限はなし。
  2. 少額訴訟:60万円以内の金銭の請求について、1回の裁判期日で解決する手続き。

会社に見切りをつけてさっさと転職する

とはいえ、告訴や訴訟はめんどくさいという人が大半でしょう。お金も時間もかかるので。

であれば、転職してさっさと違う職場に行ってしまえば、今の会社の問題はなくなります。

とはいえ、いきなり会社を辞めるのはおすすめできません。会社をやめた後に転職活動しようとすると、次の会社が見つかるまで給料が入ってこないため、急いで転職先を探すことになります。

そうなると、適正な判断ができず、またブラック企業に入社するハメになるかも。

なので、まだ我慢ができるのであればまずは転職活動を始めてみて、いい会社が見つかったなら本格的に転職を検討すればいいのです。

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まとめ|労基署が動いてくれないなら転職したほうが早い

労働基準監督署に相談に行っても動いてくれない理由と対策について書きました。

労基署が動かない理由
  • 労働法関係外の相談の場合
  • はっきりした証拠がない場合

こういった場合が多いのです。

そして労基署が動いてくれない場合、訴訟や告訴の話に触れましたが、正直解決するのに時間も手間もかかります。なによりも、勤務先との関係は悪化してしまいます。

それに、労基署が動いたとしても、勤務先が本当にあなたの思い通りに変わってくれるでしょうか?そんな程度ならこれまでに会社は変わっているでしょう。

なので、そんな会社にはさっさと見切りをつけ、転職という形でいち早く新しい出発を図ることこそが一番の解決策です。

まずは転職エージェントに相談する、その1歩があなたの明日の人生を切り開くのです。

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